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誰もがそれを知っているのikumatsuのレビュー・感想・評価

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)
3.3
春にピカピカの店舗に移転した映画館。
ここは、座席の座り心地が悪い。
深く腰掛けると挟まるのだ。

ずっと楽しみにしていたアスガー・ファルハディ監督。わたしは彼の作るどうしようもない居心地の悪さが大好きだ。

ほんの些細な小石から、取り返しのつかないような嵐に。誰も悪くないのに皆の気持ちが八方塞がり、ぐちゃぐちゃに絡まる気持ちや欲、罪悪感。ズブズブと底なし沼にハマっていくような、そんな世界が大好きだ。

今回もやっぱり、居心地が悪い。
かわいい娘が誘拐されたのだ。
あの人もこの人も犯人に見える。
居心地が悪い。

座り心地も悪い。

結婚パーティーから始まるもんだから、登場人物が多過ぎる。
関係性が微妙にわかっていない。
居心地が悪い。

依然、座り心地は悪い。

いつもの“些細な小石”なんてものではなく、どこかに完全な悪がいる。
派手だ。
ズブズブが少し薄れる気配がある。
居心地が悪い。

どうやったって、座り心地は悪い。

あぁでもやっぱりファルハディ監督。
八方塞がりで、ちゃんと居心地が悪い。


今回は用意周到な誘拐事件。いつもの、仕方なくついてしまった嘘”や“ほんの些細な出来心”などではない。華やかな人達の中での大きな事件だったので、“小石ズブズブ欲”は満たしきれませんでした。わたしが勝手に期待してしまっていただけです。作品に罪はありません。


座り心地に慣れてきた。

習得しました。
座り方。
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