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「誰もがそれを知っている」に投稿された感想・評価

yuusai

yuusaiの感想・評価

4.8
イランの巨匠Asghar Farhadi監督最新作。作品全てが国際的な賞を受賞するのも驚異的だが、お涙頂戴的な名作狙いでは無く、祖国の世情を鋭く描いた作風は、宗教や国境を越えて日本の私達の心にも響く。決してイスラム的な背景を説くのでは無く、映画としてのエンタメも内包してる。「彼女が消えた浜辺」「別離」「ある過去の行方」「セールスマン」どれも粒揃い。私的には「セールスマン」が最高傑作だと思うが、本作は「彼女が消えた浜辺」とニュアンスは近い。

監督が10数年前にスペインへ訪れた時、至る所に貼られた子供の行方不明の掲示物を見て、本作の構想に取り掛かる。その時にPenélope CruzとJavier Bardemと言う本物の夫婦をいわゆる「あて書き」して脚本を作り、それをPenélope Cruzに送り、直ぐに電話が鳴ったと言う。下層階級にも、更に格差が有り、恵まれない人々が真っ先に疑われる社会を鋭く描く。イランからスペインへ舞台を移しても、世情を捉えた作風は変わらない。

注意点は「ミステリーでは無い」と言う事に尽きる。私の敬愛する「4」で始まるフォロワーさんが指摘する様に、風習や文化を活かした脚本は、あくまでミステリー「風味」の域を出ない。本作のテーマは日本で言う田舎の「ダークサイド」を描く事で、人間の「ダークサイド」にフォーカスして、性根を炙り出す事がメインで、謎解きに期待すると、肩透かしを喰らう。スリラー要素はストーリーの潤滑剤に過ぎない、事件の動機が実に拙く、もう少しサスペンスに深みが有ると満点だった。ハリウッドでリメイクしたら、スリラー的に面白く作れても、真相へのリアリティは逆に薄まるだろう。

過去作品と比較しても「演者の圧力」は本作が一番で、脚本の重厚さに負けないのは流石ハリウッド・スター。スペインの宝石と謳われたPenélope Cruz、45歳でも綺麗だなぁーと見惚れてると、苦い結末に突き落とされる。ハッピーな結婚式を見てるので、後半の落差の激しさも、上手く演じ分けてる。私は原作派なので「あて書き」に否定的ですが、監督の手腕も有り、上手く機能してる。日頃からミステリーに慣れて無いと、人物の相関関係が把握し難いかも。友人は最後まで観ても犯人の名前が分らない(笑)。

それにしても田舎の闇は深い。Penélope Cruzが故郷に戻る時の地元民の視線の冷たさにはゾッとする。京都は排他的と、よくネタにされますが、洛内に生まれ育った身としては、守るべきローカル・ルールと言うか、規律が無いと1000年の都は維持出来ない。京都あるあるですが、例えばお隣さんが福岡県の人で帰省する時に「あら、どこ行かはるんですか?」「ええ、福岡の実家に」「そら、宜しいなぁ」。意味分りました?、答えは明太子を買って来い、と言う意味です(笑)。夏は両隣と向かいの家の前の水撒きは欠かせません。密着度が結束にも繋がり、京都は政令都市で最も火事の少ない街でも有る。

「建前」とは生活の知恵で有り、狭いコミュニティでは秘密など存在出来ない。広い意味で何でも共有するのが田舎の掟、それはスペインも変わらない。都会へ出た者は裏切り者と悪口を言われ、残った者は貧乏くじを引いた強迫観念に駆られ、成功すれば陰口を叩かれる。持たざる者の僻み、妬み、嫉みで有り、地域の住民、会社の同僚、或いは夫婦でさえ「建前」が崩壊した時の恐ろしさを、本作は残酷に描いてる。

Javier Bardem演じるパコは秘密を知ったから、あの様な行動に出たと描かれますが、本当にソレだけでしょうか?。元カノで有るPenélope Cruzに対する想いが、再会した事で別の感情が芽生えたのでは?。男は本当に愛した女性は一生忘れない。そして恋愛に年齢は全く関係ない。無一文の元カノの旦那、パコだけ知らない「誰もがそれを知っている」秘密。そして今でも綺麗な元カノ。彼女の家庭を壊す気など毛頭ないのは、彼の人柄で分る。しかし、今まで歩んだ人生と別の未来が有ったのでは・・・そう考えても不思議では無い。彼にもベアと言う他人から見れば、十分に美しい妻が居る(Bárbara Lennie、中々良かった(笑)。妻は自分への愛が本物でない事は分っていた。それでも夫を愛していたが、恐れていた事が現実と成り、夫から去る覚悟を決めた。

Penélope Cruz演じるラウラも同じ、何かを期待して故郷に戻って来た筈だ。でなければ夫を置いて故郷には戻らない。夫の失業で家計は火の車、渡航費用が乏しいのも事実だが、Javier Bardemとの距離の詰め方は、単なる元カノの域を超えてる。自宅に戻る朝、夫と抱擁する時の冷めた表情が実に印象的。此方の夫婦も崩壊は免れない。

秀逸なのはエンディング。真相に気付いたマリアはフェルナンドを呼び止め話し始める。物語はまだ終わって無い。パコに金を返せば済む話では無くなってる。噂が広まるのも時間の問題。つまり「誰もがそれを知っている」の第2幕が開く。負の連鎖を止める事は誰にも出来ないのだ。

名匠らしい洞察力に溢れたヒューマン・サスペンス(スリラーでは無い)の傑作。深淵を覗く時、深淵もまた此方を覗いてる。
toyu18l98

toyu18l98の感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

あの『秘密』を引き出すための、畳み掛けるような家族親類同郷の人々などなど登場人物多すぎ…でもその分きっとリアル。
どうやって誘拐されたか、は全くスルー。本題はそこじゃないのでね、とある意味で潔い。


嘘か本当か、信じられるのは誰か、何が本物なのか。
淡々とぐるんぐるん揺さぶりかけてくるの、この監督の持ち味なのかな?

スペインの田舎の雰囲気はとても堪能できた。
ただ。
そもそもキャスティングが最大のネタバレでしょ……
娘出てきたときの視線の交わし方で、あーこの2人、昔に何かあったんだろうし娘がこの人の子なんだろうなって分かっちゃうよ。
いや、たぶん、その生々しい雰囲気こそ、あの夫婦だからこそかな。そこ狙ったのかな。
公然の秘密感は確かにあった。
旦那衆の風貌が一人を除いてほぼ同じで紛らわしい!😂

髭面にモサモサ頭🧔←みんなこんな感じ

🧔🧔🏻🧔🏽

慣れるまで誰が誰やら…😅

スペイン人のおじさんてみんなあんななの?

娘が誘拐されてからの顛末がダラダラと長かった。

早く進展しろー眠いぞーって思いながら観てた😴

ペネロペ・クルスは相変わらず綺麗だし、スペインの街角は素敵だったし、観て損はないけどね。
Kinakosan

Kinakosanの感想・評価

3.6
アスガー・ファルハディの作品は、毎回もやもやもやもや、、、。
油断した訳じゃないけど、するっと事件は起きてしまう。

けっこうな究極な選択、、、。しかし、酷すぎるわ。

何かが起こるところに、必ず理由はあるのかな、、、。

おそろしいのは、事件は解決したとしても、全てが元に戻らないということ。
jaja

jajaの感想・評価

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女ってぇのはとにかく嘘をつく。まるで嘘をつかないと損するとでも思っているかのようだ──レイモンド・チャンドラーの小説に登場するとある人物の弁だ。▼僕もこれまで彼女たちの嘘を真に受けて何度痛い目にあったかわからない。だから、僕がパコならラウラの言葉など信じないな。ましてやこの場合、娘の命がかかっている。損をするどころではないのだから。▼でも本当だったんだね。たまにこういう本当のことを言うから僕たちはまた彼女たちの嘘に翻弄されるのだろうな。▼そんなことはともかく、とても面白かったし、よくできた映画だったよ。
息が詰まるような閉塞感が、スペインを舞台にしているのに近所の話のようでもあり。時計台のシーンが神社での密会のようにも思えたり。つくづく自分はこの土地が好きではないなぁ、と実感。
Haruki

Harukiの感想・評価

4.4
ファルハディの本領がしっかり発揮された作品。
他の作品をように、事件が起こりそれが引き金となって家族の秘密が明かされていく。

幾重にも疑惑が錯綜する小さくも闇の深い「家族」という集団。
それを捉えた豊かな観察眼と緊迫感のある脚本・演出はさすが。

それまで楽しく結婚ムードを楽しんでいたことがコントラストを生み、誰もが秘密を隠しながら人間関係を築いていることをあぶり出している。

余韻を残す終わり方もいつもの通り。
Rosalie

Rosalieの感想・評価

3.5
教会の屋根裏部屋、
歯車の回転、壊れた時計盤。
羽ばたくことができない鳥。
不穏なモチーフが
散りばめられた冒頭から
居心地の悪さを感じます。

ペネロペ・クルスの母親としての演技、
良かった!
じゅん

じゅんの感想・評価

3.1
寝不足の中ひたすら鑑賞。

ボーッと観てたので
さほど記憶に残ってない。

ミステリーなのかな?
田舎とか狭い空間で有り得そうな
君の事は皆知ってるよ?的な?

ちょっと記憶も曖昧だから
また時間を改めてじっくり鑑賞します。
anguish

anguishの感想・評価

1.6
ラウラは姉の結婚式に参列する為、娘と息子の三人で帰郷する。二次会の席で停電に見舞われ、娘のイレーネが忽然と姿を消してしまう…

娘の行方を捜すのですが時間だけが過ぎていき、話が進んでいるようで進んでいないような苛立ちを感じます。その背景にはお金と土地の問題があります。お金を用立てることが唯一出来るのが、元恋人のパコだけという…

アスガル・ファルハーディー監督、私が監督で映画を観るその1人。今までのタイトルは素晴らしかったですが、今回はイマイチでした。
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