映画漬廃人伊波興一

誰もがそれを知っているの映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)
4.7
2019年、何千本、何万本の映画が全世界で公開されるのか予測できませんが、ひとつだけ自信をもって予想出来る事があります
それは他作品をいくらうず高く積み上げようとも、アスガル・ファルファーディーの新作「誰もがそれを知っている」の前では一瞬で瓦解するに違いない、という事。

今年から母の介護が私の生活の一部として加わり以前ほど映画を観れるか?と心配でしたがやはり観てます。吞む打つ(将棋を)観るという道楽がなくてどんな人生になるというのか?少なくとも私には(笑)

若い頃、その新作が待ち遠しい作家が常に軽く百人を超えてましたが、私自身の中で多くの映画作家が成仏してしまった現在、30人ほどで頭打ちになってしまいます。そこから公開初日に劇場に駆けつけたい衝動を招く作家はさらに絞られます。

ジャン=リュック・ゴダール(新作「イメージの本」は素晴らしかったです!)、候考賢、アキ・カウリスマキ、クリント・イーストウッド、アレクサンドル・ソク―ロフ、わが日本の青山真治、黒沢清(「旅のおわり世界のはじまり』はまだ未見です 泣)、阪本順治などいずれも還暦、古希、喜寿、傘寿を超えた大家ぞろい。
ですが数少ないながらも年下の映画作家として濱口竜介とアスガル・ファルハーディーが存在するのは嬉しい限りです。。
そしてファルハーディーの新作
「誰もがそれを知っている」
関西で公開されているのは大阪・テアトル梅田のみ。しかも上映時間は20時50分からワンタイム
無理もない。こんな恐ろしい映画、全国劇場一斉ロードショーなんて蛮勇が許される筈もありません。まさにめぐり逢えれる方がめぐり逢えるべくして初めてめぐり逢える映画なのですから。
イーストウッドの新作「運び屋」でさえ一瞬、色褪せた体験。
やたらな人には観て欲しくない。ですが、やはり必見と叫びたくなる所以です。

ちなみの2019 7月現在上半期ベスト

アスガル・ファルハーディー「誰もがそれを知っている」
ジャン=リュック・ゴダール「イメージの本」
三宅唱「君の鳥はうたえる」(公開は昨年でしたが今年に観ました)

次点クリント・イーストウッド「運び屋」