あさのひかり

ミスター・ロジャースのご近所さんになろうのあさのひかりのレビュー・感想・評価

4.4
「幸せへのまわり道」が良くて、モデルとなったフレッド・ロジャースが気になってたので観賞。まず感じたのは、「幸せのまわり道」は、そのままこのドキュメンタリーで描かれた彼をモデルにしてた。ああ、本当にあんな人だったんだな、と。

子どもにとって必要なもの、大切なものを誰よりも分かってて、それをテレビの中で、時には実際に子どもと会った時に、誰より優しく的確に与えていた印象。テレビを見た子どもたちの彼を慕う素振りだけでも、それがすごく伝わってくる。裕福な生まれで穏やかに成長したけれど、それだけじゃなくて満たされてない傷付いた部分もあって、それを大人になっても忘れてなくて、その事への深い洞察があったからこそ出来たことだと思う。

トラのぬいぐるみと女性出演者のデュエットなんか、そんな優しさにあふれてて涙ぐみそうになっちゃった。大人でもあの歌は慰められる温かさと深さがあったし、他にもいっぱい、覚えきれない素敵で大切な言葉があった。

彼自身が繊細で清らかであるが故に、それが信じられないゲスな人達に足引っ張られたり、また、彼が嫌った暴力的で愛がなくて、子ども達を傷付けるようなテレビ番組は減らなかったり。彼がいくら努力しても思い通りに行かないことはたくさんあって、そのことを思い悩んでて。

でも、「子どもの時、あなたの言葉に励まされて勇気をもらえた」っていう人がいる限り、彼のしてきたことはとっても意義のあることだったと思う。なにせ、大人になってこのドキュメンタリー観ただけの私でも「大切なことを沢山教わった、観て良かった」って思える位だから、もっともっと愛のある大切なことをたくさんの色んな人達が受け取ったはずだし、それは本当に貴重なことなはず。
あさのひかり

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