しゅう

七つの会議のしゅうのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
3.7
原作未読。

全員がトゥマッチな芝居をするこの物語の中でも、ひときわ異彩を放つ野村萬斎の見栄切り芝居。

それ単体としては悪くない、むしろ癖になる面白さなのだけれど、物語のテーマとはそぐわない。

この物語では、登場人物たちは皆弱さ愚かさを抱えていて(それは絶対権力者の御前様も例外ではない)、それ故出世欲・名誉欲・保身・社会的体面などの為に不正に手を染め、或いはそれを隠蔽しようとしてしまう。

その中で、ただ一人野村萬斎演じる八角のみが、(ある過去の事件から)組織人・家庭人としては死者となる事で、それらの弱さを棄て去った存在となる。ある意味無敵の人となって組織の不正に立ち向かうこの男の強靭さを、野村萬斎が外連たっぷりに演じているのだが、これには少々違和感が。

自分は、組織の不正を減らしていく為には、全員が八角の様な人間的な弱さを棄て去った無敵の人となるのでは無く、むしろ互いに人間的な弱さ愚かさを抱えている事、それによって過ちを犯す可能性がある事を認め合うことこそ重要だと考えている。

その意味では、このドラマは愚かに惑い続けてきた(香川照之演じる)北川を中心に語られた方が、より面白味を増したのでは、とも感じた。
しゅう

しゅう