mrかっちゃん

七つの会議のmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
3.6
TBS × 池井戸潤原作で2013年に大ヒットし平成史上最高の視聴率を獲得した半沢直樹スタッフの企業エンタメ映画。

当時半沢直樹はリアルタイムで視聴していて一つのムーブメントとして確立していたのを覚えています。
その後沢山の池井戸潤原作ドラマが製作されています。
その骨組みと手法を用いたのが今作。

ある一つの謎を探っていくうちに、企業の闇へと辿り着くストーリーですがその中で、主役の野村萬斎演じる「居眠り八角」というあだ名がついた八角が、仕事もせず会議の場では居眠りしているのに係長として居座っているのか。
過去は優秀な社員だったのに何故落ちぶれてしまったのか。
ミステリー仕立てに次々と謎が浮かび上がり、一つ解決するとまた新たな謎が生まれる。
その過程をわかりやすくかつテンポよくまとめている。

役者陣もまさしく豪華絢爛で、TBSのドラマからほぼ出演し似たような役を演じているところもある意味ファンサービスのように思えてくる。
監督もドラマを演出していた方なので、
あの雰囲気と画面から熱が伝わってくるオーバー気味な気迫の演技は一切ブレず、迫力はすごいです。
冒頭、香川照之の「売って売って、売り倒せ!!」と吐き散らかすエネルギッシュな演技にはさすがとしか言いようがない。
主役の野村萬斎は何をやっても面白く演じますね。
本業が能楽師の方なので話を掻き回していくキャラクターをやらせたら彼の右に出るものはいないと思います。
最近だとゴジラもやってますから。

とてもわかりやすく軽快な作品ですが、ひとつだけ言うとするとあくまでテレビ局映画感は拭えていないというところ。
小説の映画化ではなく、映画の漫画化になっている。
細かいカット割りとテンポのいい会話、
わかりやすくストーリーを整理するように語るシーンが挟まれるなど、いかにもな構成になっているところにそうしてしまうかという落胆の色は隠せなかった。

でも悪い映画ではないです。
エンドロール中に野村萬斎が1人語りする
シーンは胸に突き刺さりました。
日本と日本人に根付く悪しき文化とそもそもの根源はもっと深い所にあるというメッセージ。

映画の漫画化に成功しているのは「シン・ゴジラ」だと思ってます。
邦画が向かうエンタメ映画の方向性は今作のような作風なのかもしれない。