※万人向けの作品ではないかもしれません。
個人的なスコアです。
タロウはネグレクトの母親と暮らし、戸籍も無く、一度も学校に行った事がない男の子。
名前も無い。
「名前が無いやつはタロウだ」とエージにタロウと名付けられる。
普通の言葉も常識も人並みに解らず、自分の正確な年齢さえわからない少年だ。
タロウには年上の友達が二人いる。
柔道で高校に入学するが、柔道を止め、荒むエージ。
その友人のスギオ。
年下のタロウを対等に扱い、互いに心を開き合う大切な仲間だ。
3人はいつも寄り添い、奔放な日々を過ごしているが、三人でエージの因縁の知り合いを襲い、盗んだカバンの中に、本物の拳銃が入っていたことから運命が狂い始める。
ギャングに追われ、追い詰められて行き…
不本意な環境や立場に抑圧された感情が爆発したら?
皮膚と死が隣接したような、ヒリヒリした感触が終始つきまとう細やかな演出。
友情、恋愛、家族、援交、ブラックビジネス、犯罪
盛り込まれているが一筋縄では行かないテンションの高い作品。
鬱屈した、暴力的で支配的なエージを菅田将暉が怪演している。
ボコボコにされるのを承知で自分から柔道場に「こーんにーちわーっ!」と入って行く表情は彼ならでは。
キレる菅田将暉、最高だ。
「ピンクとグレー」で魅せてくれた狂気がさらにあがっている。
全編を通してアナーキー。
ヤラれるアクションの観せ方が巧み。
この役は彼で無くてはならなかっただろう。
キャストの皆さん全員の芝居が上手い。
タロウを演じるのは世界的に有名なモデルでアーティストのYOSHI。
大森監督の「手垢のついてない人を」の意図で起用された。
演技未経験だが神がかっているような天才俳優だと思った。
うわぁー!っと叫ぶシーンなど芝居ではなく役本人みたい。
大好きな援交している女の子とラブホに行き、「好きだ、三万円ある、セックスしよう」みたいな不器用で一生懸命なスギオを仲野太賀が好演している。
ラストは
ああ、、。
心の叫びですね。
観て良かったです。
※ミニシアターの夜9時枠のような難解があります。
「賛」が分かれる作品だとキャストさんが言っていましたが、その通りだと思います。
暴力的なシーンが多いのでそちらが苦手なかたには向かないと思います。