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天使のたまごのkouのレビュー・感想・評価

天使のたまご(1985年製作の映画)
3.5
押井守監督によるOVA。アニメーションとしてここまで異質で、他のアニメ作品ではあり得ない内容にまず驚かされる。映像としての素晴らしさ、そしてオリジナリティ、静かであるが何かを放ち続ける展開が異質だった。全編を通して、暗く緊張感のある作品になっていると思う。

大筋の物語はあるのだが、場面場面が物語ではない何かを表現している。巨大な鳥の卵であったり、水面に揺れる影、街の壁を泳ぐ魚などそれぞれが見る者の想像にゆだねている。最も重きがあるのは少女の持つ「たまご」だろう。これの中身、そしてたまごの持つ意味を考えさせる。

ある種の少女が女性になっていく物語ともいえると思う。ノアの方舟の話を下敷きにし、多くのモチーフをイメージのように重ねることで、他のアニメ作品とは明らかに違う楽しみ方のできる作品になっていると感じた。
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