シェパード大槻

天使のたまごのシェパード大槻のレビュー・感想・評価

天使のたまご(1985年製作の映画)
5.0
たまごって脆い部分がない形。ちょっと壊すことはできないしちょっと見ることもできない。たまごの中ってもしかしたら現世じゃないかも。たまごは割れたら次の章になる。(関係ないけど球体信仰とかあるのも納得)
割られて走って落ちたときに向こうをみて大人になって次の物語に入ったあとの、カメラが引いていく場面が衝撃だった。石が並んでいるのが、(たくさんの銅像でも)歴史を感じて孤独な2人も世界の法則に巻き込まれることができてよかったと思った(男の子は石?)。石は直角を表すのにも貢献していて目を見張った。カットが変わる間も長くて、壮大なイメージと強い印象と体感を持てた。世界が対称的なのも必然的に思って、わあ本当の世界の姿を見てしまったぞ!!と思った。年下の女の子はたまごを守り年上の男の子はそれを割るというストーリーに愛と革命の関係を思った。(こどもの内向を主権にしながら毎秒ぶち割るみたいな人が魅力的だよねw俺はそろそろたまご割れ!!!!)
知識なくてキリスト教や救世と本作のメタファーはわからなかったけど、女の子が信じる立場で男の子がそれに相対する立場で、女の子の信仰は叶わなかったことは分かった。けど割れたことで女の子は救われたと私は思った。
アニメって記号的な顔のためにあるんじゃなくてこのようなフィクションを描くにふさわしい表現だと思った。耽美耽美。。。蒼白くて暗いのが耽美界の王道にして最高❤︎髪とか顔とか美しかったけどたまに顔が崩れるのも(他のアニメだったらやだけど)ビジュアルに美がとどまらない感じあって好き。
自分がなんとなく好きなものは婉曲であればあるほどありがたい。勝手に自分のものにできるから。