荒野の狼

RBG 最強の85才の荒野の狼のレビュー・感想・評価

RBG 最強の85才(2018年製作の映画)
5.0
2020年に亡くなった連邦最高裁判事のルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburgの2018年に制作されたドキュメンタリーで、彼女の名前の頭文字「RGB」が原題。日本ではあまり報道されることがなかった人物であるが、リベラル派のギンズバーグが大統領選挙投票日の直前に死去した時に、トランプ大統領が保守派の判事を後任として、極めて異例に任命したことは日本でも報道された。
本作を見ると、ギンズバーグの人生と経歴がわかるとともに、これを通して、アメリカの人権運動(女性の差別など)の歴史、関わってきた大統領(カーターからトランプまでだが、若き日のバイデンも登場)をも把握できる。彼女の生い立ちでは、彼女の母親からの次のメッセージは印象に残る。

母からのメッセージ:To be a lady (淑女たれ); don’t be distracted by emotions like anger, envy, resentment (悔恨). These just zap energy and waste time.

本作では、ギンズバーグのニックネーム「ノトーリアス・R.B.G」(Notorious R.B.G.)が、1997年に24歳で暗殺されたラッパーのノトーリアス・B.I.G.に由来することも紹介される。さらに、ノトーリアス・B.I.G.のミュージックビデオの一部も本作には挿入され、アメリカのヒップホップのカルチャーにも触れることができる(このビデオの全編はYouTubeで視聴できる)。


扱っているの内容は、本来は人権問題に対して厳しい闘いをしてきたギンズバーグなので、重いものであるのだが、映画本編は明るく、コメディタッチであり、「サタデーナイトライブ」のギンズバーグ関連のパフォーマンスや、夫のマーティン・ギンズバーグのユーモアに富むメッセージなどは楽しい。
アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされたジェニファー・ハドソンが歌う、ダイアン・ウォーレン作曲・作詞のオリジナル曲「I'll fight」がエンドクレジットで流れるが、歌詞の内容がギンズバーグの人生そのもの。歌詞をじっくり味わうと映画の感動も深くなり感涙。

When each night is like a battle you can’t win
And the pain is like a weight you’re carrying
I will be the one to help you carry it

So, I’ll fight, fight that war for you
I’ll fight, stand and defend you
Take your side, that’s what I’m here to do

I’ll help your back when your backs to the wall
I’ll catch the tears when your tears fall
I will give it all I won’t give up the fight
荒野の狼

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