ノラネコの呑んで観るシネマ

RBG 最強の85才のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

RBG 最強の85才(2018年製作の映画)
4.6
素晴らしいドキュメンタリー。
「ビリーブ 未来への大逆転」の主人公としても記憶に新しい、アメリカ最高裁の最年長判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグの足跡を追う。
あの映画の「その後」が中心となっているので、両方鑑賞するとより人物像が深く理解出来る。
この方、リベラル派として知られているけど、決してラジカルではなく、むしろ思想的には中道に近い。
ただ人種や性別など、生まれついての条件による不平等に対しては絶対に譲らず、今の右傾化した最高裁のバランスが、彼女のポジションを際立たせている。
印象的なのはやはり人間性で、母親からの教えらしいけど、基本この人は怒らない。
怒りの感情は目を曇らせるから、常に穏やかで冷静沈着にものごとを見る観察者で調停者。
SNSなどによくいるタイプの、怒れる正義の味方たちとは真逆のキャラクターの持ち主だ。
相手の言葉をよく聞いて、その言葉の出てくるメカニズムまで考えているので、立場が相容れない保守派の人間とも友達になれる。
「男たちはそもそも、そこに性差別があるとは思ってない」は至言。
現実を知らない法曹界の男たちは、敵対すると言うよりも“教育する”対象なんだな。
そんな彼女が、唯一強い言葉でディスったのがトランプだと言うのだから、彼がどれほど酷いかよく分かる。
対象的に夫のマーティンは本当にいい人だ。
「ビリーブ」でアーミー・ハマーが演じたキャラクターは、理想化されてた訳じゃ無かった。
互いに補い合う内気な妻と陽気な夫、運命が結びつけた最強の夫婦じゃないか。
ブログ記事:
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