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孤狼の血 LEVEL2のkのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.7
前作のMVPは中村倫也さんで、今回は村上虹郎さんでした。
早乙女太一さんも、終盤で思わず声が出るほどかっこいいシーンがあり、ちょっと忘れがたいです。

完全オリジナルストーリーということで。
役所広司さんの不在を嘆くことは絶対にしないと心に決めて鑑賞。
不在を嘆くというよりは、その絶対に埋まらない穴を埋めなかったlevel2に感服。
映画の全部が、彼の不在を嘆いているようだった。

美術監督・今村力監督による、役者が全力で演技できる環境を作り込む妥協のなさ、ハラスメントを許さない"リスペクト・トレーニング"を導入、(日本にも必要だとインタビューでおっしゃってて、ますます監督が好きになった)、裏側を知れば知るほどこの映画に対する敬意が深まる。
素直に日本映画はかつての(仁義なき戦いなど)の勢いを失っていること、韓国映画を参考にしたことも話していて、信頼できる。

映画は生身の人間がつくっている。
観客が観たいものをつくるというよりは、観せなければならないものを全てをかけてつくった、そんな気概を感じました。

みんな言ってるけどやっぱり鈴木亮平さん演じる上林は、映画館で観ると震え上がるほど恐ろしい。
特徴的な殺し方が、彼の弱さを反映してる。無敵じゃない。だから怖い。

「何もかんもぶっ壊れりゃええんじゃ」

スクリーン越しでも"あ、この人に私は殺されるかもしれない"と気づけば脳裏によぎってたよね。
実際この日の夜、想像上の地獄で何度も殺されるという最悪な夢をみた。笑

村上虹郎さんの演技のせいもあるんだ!!
絶対に逆らえないんだ、そんな諦めを表現するのがあまりに自然で、1番感情移入しやすい。この映画の"隙"になっていた。
MVPです。はい。よろしくお願い致します。笑

それにしても、自分の人生が狂ってしまった人の、人を狂わせる力は物凄い。
まるで重力のような力を持ってるよなぁ。

自分でハンドルを切れなかった運命の先を呪う、そこがとてもリアルでやるせない。

観る前に町山さんが「これは上林と日岡、2人のラブストーリーなんですよ」て言ってるの見てて笑ったんだけど、見終わってもう一度思い出して爆笑した。

松坂桃李さん、我らのとぅーり、いつも私たちの期待に殴り込み入れてくれてありがとうございます。

そしてどうしても言及しておきたいのは、この映画は音も相当作り込まれていたということ。
上林が服を着るときの音。雨が地面を打ち付ける音。銃声。人の叫び。
耳に残る音が多く、その響きは記憶に刻まれる。

あぁ、映画っていいな。
映画館には、ドラマがあるな。
なんか1人でこんな風に酔っちゃいましたよ。笑
この気色悪さも許されるんですよ。でっかいスクリーンを前にしていれば。

そうなんですよ。でっかいスクリーンね。初めてグランドシネマサンシャイン池袋で。
ばかデカシネコンめっちゃ好き。エスカレーターめんどくさいけど気に入ったなぁ。
映画館はでかけりゃでかいほど好き。
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