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真実のmmmのレビュー・感想・評価

真実(2019年製作の映画)
4.0
民的女優であるファビエンヌ(母)と海外で脚本家として活躍するリュミエール(娘)

ファビエンヌが出版した自伝本「真実」の出版祝いを口実に、リュミエールはテレビ俳優である夫ハンクと娘シュルロットとともに帰省する。

ファビエンヌの現パートナー(ジャック)、元夫(ピエール)、長年の秘書(リュック)を取り巻く家族が集まる中、自伝本に綴られた嘘と綴られなかった真実を巡る話。

…と書いたものの、サスペンスでもミステリーでもなく、家族…特に母娘の関係性をメインに描いた作品。
ネタばれなしだと書けることがほとんどないのだが、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークという豪華俳優陣が是枝監督の演出で演技をしていることが何とも不思議な感覚。

これが舞台が海外に変わっても完全なる是枝監督の家族の描き方であり、設定こそ違うものの、ファビエンヌとリュミエールの毒気のある母娘のやり取りは「歩いても歩いても」の樹木希林×YOU、「海よりもまだ深く」の樹木希林×小林聡美の母娘を彷彿とさせるので、それだけで、くすっと笑ってしまった。

ファビエンヌが女優という設定のため、女優として劇中劇で演じる母娘関係、またリュミエールとシャルロットの母娘関係など多面的に描かれていることも面白い。

観る人自身の母娘の関係にもよるかもしれないし、男性にはちょっと分かりにくいかもしれないが、母と娘の関係、案外単純ではなく、親友のような仲の良さがあるかと思うと胸に一物抱えていたり、実は決定的に許せない部分があったり…近しいゆえの面倒くさい関係でもあるのです。

だからといって断絶するわけでも暴力的でもない。
なんでもない日常の中で生まれる面倒くささすら愛おしくみせてしまう(気付かせてくれる)ので是枝監督の描く家族の話はやっぱり好き。

季節や諸行無常を感じさせる木々が風に揺れるというカットも。

ラストは、少し意外で新鮮でした。

感覚的に掴めるものがあったので字幕でもそれなりに満足でしたが、吹き替え版だとより言葉のニュアンスとして伝わるのではないかと思うので公開後、観に行こうと思います。

評価の理由としては、自身の不勉強。
特にカトリーヌ・ドヌーヴの代表作だけでも知っていると、ぐんと深まるのではないかと思います。
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