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真実のkのレビュー・感想・評価

真実(2019年製作の映画)
5.0
あんなに爽やかな明るい気持ちで映画館を後にするとは…。
キュッと切ない、でもギューッと嬉しい。

世界で1番ヒョウ柄のコートが似合うと言い切って間違いないカトリーヌ・ドヌーヴでさえ、是枝監督の手にかかれば不思議と素朴になる。観終わってから、ジワジワとその魔法を味わう。

どんなに華やかな人も、地味な生活を過ごすよね。
どんなに"成功"した人も、全てを完璧にこなせるわけじゃない。

誤解も嫉妬も飲み込んで強く生きる母親の愛が、寂しい娘になかなか届かないのは当たり前のことで、こうしてお互いが歳を重ねてまた抱き合うことが出来るなら、遅すぎることは何もない。

娘が脚本家、という設定も大好き。
詩的なセリフが溢れる2時間、(それはいわゆるカッコイイものじゃなく、飾らないセリフよりも素直かもしれないものたち)とても贅沢だった。

パンフレットもすごくオシャレで、是枝監督の言葉もしっかり読めて、この映画をまず誰と観たいかといえば樹木希林さんだ、という気持ちには思わず涙が出た。
大きさをはかれない心の穴を埋めることなく、このような優しい作品をつくってくれた監督に感謝。
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