竜平

ビューティフル・ボーイの竜平のレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
4.0
薬物依存に陥っているらしい息子と、それに手を焼くことになる父親。厳しさや愛情、現実と人生に関わる親子の物語。

息子にはきっと人知れず溜め込んでいた重圧やら、てか単純に好奇心やらもあったのかな、もしかしたら両親の離婚のこととかも、とまぁ理由はいろいろあるんだろうけど、一見幸せに溢れていて親子の仲も良くて、順風満帆に暮らしてたかと思いきや見舞われる家庭問題。序盤の感じでわりと淡々と描かれていくもんかと思いきや、やはりドラッグ関係の話、徐々にエグくシリアスな話題へ。時折差し込まれる回想、まだ息子が幼い頃の、二人の記憶を辿るようなシーンが更に切なさを誘う。二人が頻繁に使う「すべて」の言葉の意味とかも後々わかってくる感じ。親子に扮するスティーヴ・カレルとティモシー・シャラメ、両者の熱演が光る。この親子、どちらも不器用だなと思いつつも個人的にはその不器用さに共感してしまったというところ。傍から見ればわかりそうなことも当事者になってしまうとそうもいかなかったりするよね、これは自分ならどうだろうとかも考えながら見てしまうんじゃないかな。例えば父親の立場だったら、息子にどんな言葉をかけてあげられるだろう、どのように愛を注ぐことができるだろう、とか、例えば何かの拍子で依存症になってしまったとしたら、そこから抜け出せるのだろうか、自分に打ち勝つことはできるんだろうか、とか。

今作が実話で、主人公の親子二人によるベストセラー回顧録を映画化したものってのは見終えた後で知った事実。綺麗事では済まさない、薬物依存症に関するリアルな物語にいやはや見入ってしまった。そこにある親子の関係、のみならず個人個人に至るまで、ヒューマンドラマとしても素晴らしかった。いい意味での頭の中ゴニョゴニョ感、そして余韻。薬物ダメ、絶対。
竜平

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