ぴろぴろ

ビューティフル・ボーイのぴろぴろのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.7
ティモシー目当てで観たのに、どっぷりスティーブ・カレル目線で観ていた。
「この子は誰なんだろう」 成績優秀でスポーツ万能。 生まれた時からずっと見て来た我が子が、やがて親の知らない顔を持つのは、成長の過程で正常な成長の証ではあるけど、度重なる裏切りに不安で信じ切ることが難しくなる。 子供を信じ切れない自分がもどかしく、あたふたして証拠を求めてしまう。 子供が頼って来た時には受け入れたいのに、親として毅然とした態度を取るべきではないのか。 時に突き放す事も必要で甘やかしてはならないのではないか。 育て方が間違えていたのだろうか。 いつから、どこから… 答えの出ない後悔と自問自答。
一方でニックの中にあった心の叫び、期待に応えたい思いとプレッシャー、自分の居場所、寂しさ。 好奇心と現実逃避から薬に依存してしまう怖さと辛さ、良くないのは分かっているけど止める事が出来ない、どうにもならないもどかしさを想像すると、切なく息苦しくなる。 ニック自身も自分が分からないのかも知れない。
ニックが我が子だったら、ニックの心の叫びに気付けただろうか。
お互いを求めながらもすれ違いを繰り返す親子の姿が歯痒くて切ない。 人はそんなに強くないから薬物依存脱却の難しさ、入り口は広いのに出口が見つからない。 そして8年が過ぎた今も、それはまだ終わっていない。
everything…
父と息子、それぞれの葛藤と弱さを繊細な演技で魅せた2人が素晴らしく、ジョン・レノンの「Beautiful Boy」が沁みた。
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