うえの

愛がなんだのうえののレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.4
OLの山田テルコは友人の結婚式の二次会で出会った田中マモルに惚れてからの5ヶ月、全てがマモル最優先の生活を送っていた。
ある日テルコがマモルの家に泊まったことをキッカケに2人の関係は動き出すが、、
実らない片思いに異常な熱量を注ぐテルコをコミカルで切なくときにホラーテイストに描いた作品。

幸せそうに笑いながらマモルにおぶさるテルコの一方で微妙な顔つきのマモルと「私は彼の恋人じゃない」と最後に添えられた一文が非常に気になったメインビジュアルに誘われて鑑賞。

マモルからの連絡を自宅や会社で(残業を終えてコーヒーを飲みつつ時間を潰しながら)待つなど友人の誘いや仕事もほっぽり出してマモルの呼び出しに対応するテルコを演じるは岸井ゆきの。
一見すれば都合のいい女でマモルを好き過ぎるが故に盲目になっているが、その献身さに思わず応援したくなる愛おしさを好演。

猫背でヒョロヒョロ、何を考えてるかわからない気分屋的考えでテルコをいいように扱うクズ男を演じるは成田凌。
個人的2017年頃から続くクズ男演じさせればNo.1イケメン俳優の彼は今作でも遺憾無くそのクズっぷりを発揮笑。
イケメン特有の空気感でテルコをたぶらかしつつ、突然不機嫌になったかと思えば呼び出したテルコを深夜に追い出すなどの傍若無人ぶりで劇中ほぼいいとこ無し。
しかし料理中のテルコの肩に顔を乗せ、食材のつまみ食いをテルコにさせつつ、指に乗せたケチャップをテルコになめさせるという「追いケチャップ」という偉業を成し遂げ、2019年度の個人的邦画界名シーンにランクインするなど屈指のモテ男テクを見せつける辺り流石だ笑。

終始テルコはマモルに振り回され続け、実らない片思いを続けるのだが、中盤で中年のスミレが恋敵として現れ、マモルが彼女にベタ惚れしてしまう展開になる。
テルコはそんな彼を目の当たりにしても彼を思い続けたが、叶わぬ恋と悟った先に見出した最終的な田中マモルとの繋がりを保つためのあのラストシーンはある意味ホラーで背筋が凍った。
原作未読だが、田中マモルに少しでも関係することであれば構わないというあれも一つの愛のかたちなのかと感じ、色々と考えさせられるゾッとするラストだった。

その為、今作唯一の希望であるテルコの友人の葉子とナカハラの行く末に期待し、想像を膨らませて終わりにしたい笑。
結末の是非は別として、個人的2019年度の邦画作品としては上位にあたる作品だった。
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