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愛がなんだのardantのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.8
予想もしていなかったのだが、見終わった後、清々しさを感じた。

尽くす女というよりは都合のいいオンナとそれを何のためらいもなく利用する男とのカップル。とても能天気に思えるふたりだ。男は利用してるという感覚さえ持っていない。オンナは男からの連絡をひたすら待ち続け、連絡があると、何をも差し置いて、いそいそと彼のところへ向かう。そして、仕事さえやめてしまい、男が片思いしている女との場さえセットしてしまうのだ。

湿っぽくなりそうなテーマがそうでないのは、貢ぐ女ではなく修羅場がなかったこともあるが、オンナが女々しく泣いたりしない、べたべたした関係に見せなかったことだ。そして、へんに自立しているようなオンナにも見せなかったところがいい。

「比較の対象にもならない」と怒られそうだが、最近見た『記者たち』や『魂のゆくえ』のような正義という価値観をひけらかしたり、ひとりよがりな宗教観を押しつけるように感じさせる映画よりも、本作品のほうがもっとも映画らしく、高尚にさえ思えた。

岸井ゆきのは初めて見たし、成田凌は名前と顔が一致した。成田凌の軽さは抜群だし、なんといっても、岸井ゆきのの、美しくはないが、可愛いらしさがたまらなく好きになった。
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