さて、先ず最初に言っておきます。
「ワシはポール・W・S・アンダーソン監督が結構好きです。」
まぁ〜良く言われます。
「ダメな方のアンダーソン」って。
ソレに付随する言動によっちゃイラッとする時も正直あります。
あくまでも個人の嗜好ですから向こうのアンダーソンに対する否定的な事は言いませんが、ワシはコッチのアンダーソン派です。
…と、前置きした上で言います。
「バイオの時みたいに1本の映画として上手にまとまってはいなかった。」
(という事でバイオ1作目との比較多めです。かなり削りましたが結局クドめの長文なのはワシの文章力の無さという事でご勘弁を。)
基本的な構造はバイオ1と同じ手法だと思うのです。
ソレは間違いない。
ただ、元ネタであるゲームの方向性がそもそも違います。
ワシはプレイしてないですが情報収集した限り、バイオはストーリーを追うタイプ、モンハンはその世界観で狩りをする事自体がゲーム性そのもの。
つまりモンハンは自分の行動がそのままプレイヤーにとってのストーリーになるタイプであると理解した次第。
となれば映画として物語を埋め込む事に自由度がある反面、何をどうやっても『イヤ、そういう事じゃねぇし』という人は出て来てしまうのは仕方ない気がするんですわ。
映画版バイオは言うても改変の範囲。
確かに原作にないキャラクター登場や1作目なのにホラーというよりアクション強めだったりで 原作と違う感はあるのだけど、しっかりとバイオの根底は生かして1本の作品として成立はしてたと思うのです。
(極論ゲームのストーリーをまんまトレースすれば原作至上主義含め一定数は納得するでしょう。ソレが映画として面白いかどうかはさておき。)
他のゲーム原作映画化と比べてもかなり良くまとめているし、実際興行収入もヒットと言えるラインに乗せたワケで。
(まぁ後半は他監督に譲ったせいで明らかに元ネタから乖離したケツを拭く作業が大変で発展がシンドくなってる気がしましたけど)
バイオの終了から少し時間を置き、あらためてスタートさせたのがモンハン。
しっかりと描かれた世界観ながら、ソコに1本のストーリーを作るというのはバイオの様に改変だけでは無理でしょう。
で、ストーリーを"構築"する為に、バイオ1と同じ手法をチョイスしたワケです。
(ココに「ナゼ同じやり方なのか?」と疑問を持ったり懸念を示すなら全然分かりますが、この事だけで「地雷」とか言うのは正直どうなんだ?とは思います。ならば貴方の考えるモンハン映画としてあるべき姿は他のプレイヤーが概ね支持出来るストーリーや構造なんですかね?と。)
確かに最初は「同じパターンか」と思いましたが、オープンワールドで決められたルールの元"狩りをする行為"が《目的》のゲームから1本の物語を作り上げるのは簡単じゃない。
ゲームの性質が違うのだし、ソコを逆手に取って"面白く出来るならば"手法が同じでも別に良いんじゃない?
…と、ワシは思ってました。
まあソコまでに届いてはいなかったのですが。
前半のパート、コレが長いと思う人も当然居るでしょう。
実際モンハン的なパートになる後半まで結構な時間を使っています。
ぶっちゃけ言えば…
『むしろワシは前半の方が面白かったんですよね。』
ゲームをプレイした事は無いけど有名タイトルなので大雑把に内容は聞くし、モンハンってCAPCOMの系列会社からそのゲーム性をフィーチャーしたパチスロが出ていまして、ワシも触った経験あります。なので雰囲気等を察する事は出来る。
ゲームが出している少し明るい楽しそうな雰囲気とは違うダークでホラーな展開、コレはコレで映画としてのモンハンが期待出来ると思ったワケですよ。
(有名で映画のCMでも使われているあの曲がミスリードに感じるぐらい)
中盤以降モンハンのゲームらしい絵ヅラになってもゲーム的な要素は出しつつも明るく『ひと狩り行こうぜ』な雰囲気までにはしていなかった。
ただしその後半は、単純に話がイマイチ足りない気がしました。
「つまり何?」「ソレ、どゆこと??」
が多過ぎて、そのまま
『あんな終わり方をされてしまった』。
前半後半それぞれの密度と進行のバランス
ココに違和感を感じました。
後半 情報量の処理があっさりを超してただの薄味なんですよね。序盤がわりと丁寧だから余計に目立つ。
情報量は後半の方が多いからホンの少しだけランタイムを伸ばしてでも幾分処理して欲しかった。
(前半が長いとはあまり思わなかったです。アプローチの違う2種類のモンスターの恐怖を描くにはアレぐらいあっても良い。ハンターとアルテミスのやり取りはもう少しタイトに出来るかも とは思いますが)
つまり"前半が長い"ではなく『後半が足りない』だとワシは思うのです。
もしこの大量な"ナニコレ?"を2作目に繋げる前提として"故意に"やったのであれば『イヤ!それはチョイとどうなんだ?』って思います。
バイオ1は 、もし あの〆かたで 仮に"コケて続編が出来なかった"としても1本の映画としてひとまずケリはつけているので「続編出来なかったねぇ」とは言いながらも気分的に収まりはするんですよ。
対してこの作品、クライマックスで画面に映し出されている絵ヅラは「強いモンスターと戦ってラスト的な盛り上がりこそ見せている」けど、話としては完全に"尻切れ"レベル。
ビッグバジェットな予告編と言いたくなるぐらいな気分のまま終わらされる感覚なんですわ。
1本の作品としてケリがついてる風に思えない。
イコール《気分的に収まらない》んです。
コレ、全体を通して考えると正に《二兎を追う者は一兎をも得ず》なブレを感じるワケです。
面白い"映画"を求めている人と、映画としても"モンハン"を求めている人。どちらにとっても中途半端に見えるのでは?
難しい事をやっているとは思いますが、どちらにしても「もう少し振り切った方が良かった」気がします。
どっちに転んでも文句を言う奴は出て来るパターンの原作なんですから。
ただ、ネガティヴな事ばかりではなく。
やはり映像面では結構な迫力で魅せてくれています。
ビジュアルはサスガですよ。
エンタメなジャンル物として決め絵は良い物がたくさんある。
アンダーソンは それだけの物や素材をまとめて映画に出来る人なんです。
『だからこそ今回の脚本が誠に残念ではあります。』
「こんなの続編要らねー。」みたいな意見も見かけます(もちろん否定はしません 個人の意見の範疇ならば)。
実際コロナ禍の影響も絡んだ事を上乗せしても収益は残念な結果になっているし、今の映画業界は余裕が無く判断がドライです。
作られない可能性は大いにある。
だけどワシはココまで落ち着かない〆だからこそ続編が出来るなら観たいですね。
そして製作される事を期待します。
何作も無理に引っ張り過ぎないって方向がベターな気もしますけど、仮に引っ張る〆を入れるにしてもバイオ1作目程度に抑え、何より1本の作品としてスッキリするオチで面白い作品にして欲しいという思いはありますが。
アンダーソンのフィルモグラフィーで上位には来ない。
諸手を挙げて賛美するのは無理。
だけど良い所はちゃんと良い。
そんな映画でしたね。
むしろ料金が高い4DXの方が結果的にお得に感じる映画なのかも。
(あくまでも想像ですけどね。田舎には無いですからw)