実際に1970年代初頭のアルゼンチンで起きた連続殺人事件・・その犯人である17才の少年の容貌がブロンドの巻髪でずば抜けて可愛らしかったため「ブラック・エンジェル」事件とも呼ばれ、この作品は、第91回アカデミー賞外国語映画賞優秀賞にも選出されている。
この作品の基となった事件がアルゼンチンにおいて、どれだけ話題になったものなのか、イマイチピンと来ていないまま視聴したが、17才という、「多感」という安直な言葉では簡単には片付けられない、様々な価値観や欲望が続け様に打ち寄せる年齢ならではの、主人公が取る行動の一つ一つが、結構、生々しい。
主人公の性的倒錯性を示すエピソードのひとつひとつが、いかにも、製作を担当したペドロ・アルモドバルっぽい。タイトルにも、上手くかかっている。
主役を演じた俳優は、実際の犯人に似ているのかどうか分からないが、そのアンニュイな表情、雰囲気から、作品にはピッタリはまっていたと思う。