小僧

永遠に僕のものの小僧のレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.3
1971年に実在したシリアルキラーの話
青年はそのあまりに愛らしい見た目から「死の天使」「黒い天使」と言われたらしい。実際の写真を見たら確かに天使系美男だし、ロレンソフェロのカルリートスもそんな雰囲気を見事に感じさせる完成度の高さだった。
といってもこの映画は想像してたシリアルキラーの残酷さとか猟奇性はそこまで感じない。強盗は大胆だし人も殺すけど全体的に展開がおとなしいしどこかお洒落。
カルリートスが全く掴めない奴なのが良いのかもしれない。天使的ギャン萌え容姿で性格も子どもっぽくて思うままに動く。やってることは酷いのにワルには見えない愛らしさ。善悪の判断ができない、いや、できないのかもよくわからない。行動が基本謎。感情移入ができない感じはまさにサイコパスのそれ。ありがちな家庭環境の悪さとかも無いので、善良な両親だからこそ親が不憫でならない。
あと相棒のラモンがいまいち意味わかんなくて良い。当方チノダリン目当てでしたが思ってた以上に色気濃い雰囲気でゴチでした。ロレンソフェロとの対比も良い。
カルリートスはラモンが本当に好きだったんだなと思うと切ないけど、ラモンはカルリートスに出会わなければ幸せになってたかもしれない。クライム映画でありながら苦しくて複雑な恋愛映画でもあるなと感じてしまった。
始まりと終わりの統一感がすごい良かったし、全体的にアート的というか、なかなかに記憶に残る(目の保養)映画でした。ロレンソとチノが撮影中に仲良くなって友達になっているという後日談には癒される。
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