あんず

永遠に僕のもののあんずのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.5
みんなどうかしてる。もっと自由に生きられるのに。
カルリートスは呟く。

実在する連続殺人犯カルロス・プッチをモデルに、事実と虚構を織り混ぜてポップでキッチュに仕上げられた本作。
それまでの犯罪者像からは程遠い美しさを持った少年は悪魔だったのか、それとも…。

罪を犯しているという感覚がなく、あまりにも自然に強盗殺人を続けていく。
まるで道に転がっている小石を蹴飛ばすように邪魔なものを排除していく。
なぜか感情移入ができず淡々と観てしまいました。

ブロンドの巻き毛、大きな瞳、ふっくらとした唇を持つ美しい少年。
逮捕されたカルロスを見て夢中になった女性たちと同じように、スクリーンの中のカルリートスに見惚れていてハッと我にかえる。
もし彼が若く美しくなかったら?
それでも映画化されたのでしょうか。

カルリートスのあの涙はなんだったんだろう?
彼に良心の呵責なんてないように思えたのに。

水色の部屋。赤いニット。曲に合わせて踊る姿は、この上なく哀しく美しく見えました。

時に悪魔よりも残酷だと言われている天使。そう思うと彼は本来の天使の姿なのかもしれません。
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