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永遠に僕のもののyuiのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.7
実在の連続殺人犯、黒い天使と呼ばれた美しき少年をモデルにした映画。

ときに快と不快は逆転する。醜さは美に、甘さは苦味へと。そしてこの物語の少年は、純粋であればあるほどに狂気、残酷であればあるほどに甘美だ。

我が物顔で他人の邸宅に侵入し、勝手にかけた音楽に合わせて一曲躍る天使のような容姿の少年、カルリートス。
彼にとって盗みは当たり前の行為だ。
最近少年院から出た彼は、転校先の学校で心惹かれたラモンという男子にちょっかいをかける。それをきっかけに2人は親密になり、ラモンの父親と3人で盗みを計画、実行するようになる。
いつしか人殺しまでも彼にとって当たり前の行為となってゆき…

ラモンはパールのイヤリングが似合うと言ってくれたけれど、「自分はやっぱり女じゃないからな」って、「女になりたいのに」って、あの瞬間のままずっとずっと思っていられたらマシだったのかもしれない。
しかしラモンと男性との行為を見たときの嫉妬心が彼に気付かせる。
男だとか女だとかが問題じゃなくて、ただ「僕じゃない」ことが問題なんだって。
彼が同性愛者ならば、自分にだって手に入れられる筈なのに…
残酷な事実は、彼の世界には不要のものだった。

モノなんて憎らしいくらい簡単に、いくらでも手に入る彼の世界で、ジュエリーやバイクに何の価値があるというのか?

欲しいモノは手に入れればいいと、そう思って生きてきたが、しかし全くモノには執着しない。そんな少年が、もしもラモンを手に入れるとするならば。
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