脚本の妙を感じる良作。観ていて、思わず「えっ!?」って声が出たのは久しぶりかも。
主人公のアスガーは緊急通報司令室のオペレーターをしており、映画の最初から最後までこの司令室の中、声だけで物語が展開します。つまり、出演者はほぼ一人で、残りは声だけの出演。
ある日アスガーは、すすり泣く女性からの通報を受けます。どうやら車の中で監禁されており、自宅に残してしまった子どもも危ない。暗闇に監禁、しかも監視下にある女性からの限られた情報を元に、アスガーは司令室の中から事件の解決を目指す、という話。
観ているこちらもアスガーと同じ立場で、会話のやり取りから頭の中で想像しながら観ることになるので、88分と短い映画にも関わらず、観ているうちに頭が疲れて来るのがわかります。
そして、会話のやり取りから頭の中でできた想像が、60分を過ぎたあたりで、ものの見事に覆され「えっ!?」と声が出て、次の瞬間に「なるほど!」とすべてのことを理解して、納得し、感心しました。これは見事!
とにかくよく出来た映画です。オススメ。
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以下は余談。
ちょうど会社で「アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)」の研修を受けたところだったのですが、講師の話よりこの映画見たほうが早いんじゃないかなと思いました。
アンコンシャスバイアスとは無意識下の「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」、つまり、見た目や性別、年齢などから勝手に考えてしまう「思い込み、先入観」
たとえば、
・「前科持ちで近所付き合いの悪い中年男性」
・「シングルマザーで2人の子供を育てている女性」
こういう条件を与えられて、どういう人物像を思い描きますか?
この映画は、こういう先入観を上手く逆手に取った作品でした。
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これ、劇場でも出来そうだなと思ったら、日本ではラジオドラマ、アメリカではジェイク・ギレンホール主演でリメイクもされているようです。