音声版『SEARCH』という評判を聞いたら、そりゃどうしても観たくなりまさぁね。
臨時的に警察の緊急通報指令室に配属されていた主人公が、とある通報を起点とする音声情報だけを頼りに、誘拐事件の解決に向けて奔走する話。
まさに『SEARCH』で、限られた断片的な情報を分析し、解釈し、推論しながら真実に近づいていくというミステリー的な面白さはしっかり担保されている。
そして最後にアッと驚くどんでん返しがあるのも『SEARCH』っぽい。
ここのところがかなりパーフェクトにやれているので、その時点でエンタメ映画としての正解を叩き出してくれている印象。
加えて本作が面白いのが、上述の構造に主人公の結構ヘヴィーな背景情報が乗っかり、主人公本人の内面的な葛藤と誘拐事件の進展が相互に作用しながら展開していくところ。
そういう意味ですんごい脚本。
また完全に別の視点になるが、少し突き放して観てみれば、主人公が組織人としてやっちゃいけないことばっかりやってその結果案の定良くない結果に陥っていくので、一種のお仕事映画として見ることも可能。
「ほら、だから新入社員のときに報連相が大事って口酸っぱく言われたよね?」とか「だから組織には役割分担とそれに紐づく権限配分がされているんだよ。今回の件でよく分かったね?」みたいな。
会社の「危機管理事例集」的な見方も出来る。
と言うことで何の掛値もなしにただただ面白い作品だった。おすすめ。