安堵霊タラコフスキー

THE GUILTY/ギルティの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
4.4
元々見る予定ではあったが今回幸いにも試写会に当たったということで一足早く鑑賞したが、その野心的な作風には非常に感心したし唸った。

電話番をしている主人公の側だけで展開するこの作品、その展開の仕方や事件の情報の提示方法は勿論のこと電話を待つ主人公の描写や設定の開示の具合も実に巧みで、具体的に言うとネタバレになってしまうが脚本主体の自分も満足せざるを得ない逸品となっていて全く以って良い映画体験だったと強く思う。

映像表現としても終盤のとある場面での主人公の心情を的確に表した赤いライティングやラストシーン等、晩年のキェシロフスキを思わせる叙情的描写がいくらか見られ、場所が制限されていたが故に今回は控えめだったがそんな表現がもっと光る映画を拝みたいと思わせる良さがあった。

脚本が秀逸な作品故に何回も見たくなるタイプの作品とは言い難いが、電話のみで事件の解決に奔走する警察というシチュエーションを追体験できる稀有な映画として一見の価値はあると自身を持って言える作品ではあった。

それにしても今回の試写会いつもと比べて女性が多く感じられて少し萎縮してしまった。(特に自分の周囲には囲碁だと自分が取られるくらい女性ばかりで無駄にアウェー感を覚えた)