【蛇】
昨年の「search」しかり、視聴者想像型映画が増えてきた。
今作はワンシチュエーション映画でもあり、エンドロールを見る限り、あまりお金をかけず作れる点で製作者側にもメリットはありそうだ。
緊急ダイヤルの仕事に従事する主人公。
そんな折、一本の電話が彼のもとにかかってくる。
彼はその話から「誘拐事件」が発生したと推理する。
そして彼自身のこの仕事をする理由が次第に明らかになっていく。
今回は「音」。
予告編で散々「犯人は音の中に潜んでいる」とあおられたわけだが、電話の会話をヒントに事件を想像していくのは当事者と同じ立場で推理ができる点で興味深い。
また、この緊急ダイヤルという電話係は説明はないものの、おそらく警察署内でも窓際的な存在であり、ここで働くメンバーの構成をみてもただの電話係であることがうかがえる。
すなわち、権限としてはおそらく、被害者から電話をうけ、これを管轄の警察所に伝えるのみというところか。
そんな限られた権限の中で、彼はこの事件を解決していくことを試みる。一見大したことはないのだが、なぜ「今」彼がこの仕事をしているのか終盤になるにつれ明らかになっていく彼の過去を考えると、この仕事の意味に深みが増してくるのだ。
音だけが頼りということで、断片的な情報しか提供しない人々、口調から、主人公だけでなく、視聴者も焦燥感に駆られるのが非常によくできている。
今後もこういう視聴者参加型映画に期待してしまう。
2019.2.22