ろく

怨歌情死考 傷だらけの花弁のろくのレビュー・感想・評価

3.1
冒頭、夜汽車のシークエンスを見たときは「これは隠れた大傑作ではないか」と心躍ったけど、最初が一番の見せ場だった。すまん。でも唐突メロドラマで面白すぎるのよ~。別な意味でだよ。

村の男に強姦された節子は歌手になる夢を捨てきれず(村の盆踊りで歌っているシーンが田舎臭くてよしだ)親の金をくすねて東京に行く。

汽車の中で画家志望の青年、影山と出会い、ギターに絵を描いてとすがる節子。いきなりそんなこと聞く?ちなみにギターケースには「SETSUKO」と大きく名前が刺繍されています。節子、意外とこだわる。

そして東京に行き先輩の家に泊まるも先輩はもう音楽をやっていなかった。汚らしいおっさんの情婦になっていたのだ。おっさんが乳首をいじる指にはこれみよがしな大きな指輪。現代の資本論。

その後節子は歌は歌わせてもらえないし、下宿先のおっさんには犯されるし(しかもベタに奥さんに「この泥棒猫!」って言われるし)さらには自分が書いた曲も友人に盗られるしと不幸のオンパレード。ああ、これは不幸不幸不幸自慢の映画ですよ。

一方影山は?節子と別れた後持て余した性欲を発散するためにヌードクラブへ。でも「この後は3000円よ」という言葉に激昂。ヌード嬢を強姦した挙句、目をけがさせてしまう。結局やくざが出てきて影山は使い走りになってしまう。どこまで落ちるこの二人。

ヤクザからは「お前の女をデート嬢にするぞ」悩む影山。そのまま節子と出会って二人は温泉へ。とりあえずきゃっきゃうふふの後(温泉場で射的をやっているシーンがナイスシーン)、ヤクザ登場!「聞いてないのか。お前をデート嬢にするんだよ」おびえる節子。そこに影山登場!なんとヤクザを刺殺してしまう(急展開&急展開)。

このあと警察から二人は逃げるが山小屋でセクースをしているところ御用。裸で山を逃げる二人(今作一番の見どころ)。そして崖から二人ダイブ!死んだ節子の手にはなぜかチューリップが(マイクの隠喩だろうか)。

裸で山を逃げるシーンだけが頭に残って離れません。あ、節子、歌はそんなにうまくないです。うーん、でもいいんです、怨歌だから。でもいいんです、昭和だから。
ろく

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