Hoshiduru

ジェニーの記憶のHoshiduruのレビュー・感想・評価

ジェニーの記憶(2018年製作の映画)
3.1
観たのが今で良かった、と思う。以前だともっと辛かった気がするし、もっと年を取ったらもっと不快だった気がする。今の、両者のどちらでもなく、ジェニーでもジェニファーでもない状態で観れたから、微妙に距離を置けた気がする。
この話が「別れた後に「あれはレイプ」って言いだすやつだろ」って未見で言っている人をtwitterで見かけて悲しくなって、でも私も観てないなぁと思って観たけど、↑みたいに思う人こそをターゲットにした作品だと思う。

自分が10代の頃(といっても2-3年前)までは、パターナリズム否定派だったし、「子供ではなく、人間として扱ってほしい」ってずっと思っていた覚えがある。でも、今ならわかるけど、子供は「小さい人間」じゃなくて、大人とは別の生き物だ。自分が「大人」として扱われた、という喜ばしい体験は、大人が責任を放棄した姿でもある。

自分が被害者である、という事をみじめなことだと感じたり、「あれは自分の選択だ」となかったことにしようとしたりする。そういった姿勢で自分を守ろうとする姿こそが観ていて一番つらかった。結局、その時の感情と、記憶が一致するとは限らないし、自分はいつまでも、自分の認識よりずっと幼いんだよなあ、と。

映画としては、正直自分の体験の回顧と傷と向き合う姿勢が強いのかな、という感じで、学習目的以外には特に勧めないかな…。当事者の感覚を味わうのにとても良い作品だった。
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