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ヘイト・ユー・ギブのkのレビュー・感想・評価

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)
5.0
「あなたの"武器"を使う?」

全編通して愛に溢れすぎてて、全てを身近に感じることが出来た。愛の全部じゃんか。思い出す度に泣いちゃうよ。

2009年に起こった、無抵抗の黒人青年が白人警官に殺害された事件を元にしていて、既に#blacklivesmatterは重要なムーヴメントになっていたことがわかりました。

ずっと心が泣きました。
スターの幼なじみカリルは、ブラシを銃と見間違えられただけで、命を奪われた。
あんなこと、目の前で見たら…。
なぜ黒人の彼ばかり注目されるのか。なぜ彼のプライバシーは無視されても仕方ないのか。
お父さんの「家族が生きる理由で死ぬ理由」って台詞、これ以上、悲しく響かないで欲しい。

"子どもに植え付けた憎しみが社会に牙を向く。"
2pacの曲の歌詞。彼は真実を歌ってると言っていたカリルに、どんな人生が待っていたのだろうか。

私立に通うスターは、健やかな白人の、無自覚な差別にさらされていた。
学校に行く準備中のBGMは、ケンドリック・ラマーのDNA。
この曲で、スターは自分のアイデンティティに誇りを持っていることがわかる。

あの白人の友達は、"黒人の友達がいる自分"がイケてると思ってたんだろう。
実際に彼女のようなティーンはたくさんいるはず。正直、私にもそういうところがあったと思う。この作品が白人に、私に、聞く耳を与えてくれている。
恋人のクリスは、既に持っていたな。
私は今、とても恥ずかしい。

スターの武器は、勇気だった。

立ち上がり、大切な人が生きた証として、本当の自分で生きること。
向かう先が希望なら、憎しみは原動力になりうる。
そして憎しみは、断ち切ることも出来る。
たとえ、子ども達が凶器と共に報復をはかろうとも。
その力を綿密に描いてくれたこの作品に感謝したい。
痛みを分け与えてくれて、ありがとう。

もうこの映画を観る前の自分には戻れない。
そして今の自分の視界は、以前より少し広がってる。
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