愛り

凪待ちの愛りのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
5.0
女1人で観に行った。
周りは男ばかりだった。
私含め多くの人がすすり泣いていた。
観終わったあと、
香取慎吾の大柄な体に憧れて
堂々と道を歩いてしまった。
泥くさい人間たちが大好きだ。

恋愛は尊いものだ。
人間はどうして人間を愛するのか
わかった気がする。
恋愛は自分の生命の一部だ。
ただ好きという要素だけではない。
自分のカケラのような存在なのだろう。
恋愛を辞書でひくと、
恋から愛に変わると書いてある。
胡散臭いと思っていたのだが、
この映画によって
私は、愛の存在を知った。
愛を描いている本物の映画だ。

主演が香取慎吾だと聞いたときは、
白石監督と香取慎吾という
イメージがつかめず、
アンバランスなような気がしていた。
しかし、そのアンバランスさが
妙にこの映画に合っていて
映画というよりも
真実を観ているような気分になった。

さらに、香取慎吾のギャップがいい。
無表情であまり干渉しない性格なのに
声が妙に優しくて。
それがまたミスマッチなんだけど
マッチしている。
人柄の良さというのは隠しきれず
雰囲気で出るものなんだろう。
ダメな男だけど憎めないやつの
模範のような存在に思えた。

ここまでイライラさせられて
ここまで同情させられて
ここまで温かくさせられて
ここまで涙を流させる
こんな映画贅沢すぎないか。

人間として生きる以上、
どんなことがあっても
人間との関わりは断絶できない。
しかしそれは絶望ではなく
人間として生きる
唯一の希望であり、救いだ。
愛り

愛り