ひでG

凪待ちのひでGのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
3.9
SMAPのファンだったので、あのような
解散はショックだった。
中居くんも退所して、もう5人で歌うことは限りなく0だと思う。

でも、こーやって、ジャニーズ時代には考えにくかった映画にも元メンバーが出て、
才能を発揮してくれることは嬉しい。

香取慎吾というテレビが産んだスーパーアイドルがこんな役のオファーを受け、
見事に役者としての体現するとは!

あのでっかい体、というより図体!

のほっとして、何を考えているか分からないようで、時々思慮深くも見える。

優しく高い声だけれど、キレると手がつけられない。

こんな汚れた、どーしょうとない人物ながら、どこか愛すべき雰囲気も残している

ギャンブル漬けの男ながら、放って置けない存在。

香取慎吾というスターが演じたからこそ、
エンタテイメント映画として多くの方に観て頂けるのだと思う。

さて、映画そのものについてだが、
やっぱ、凄いわ白石和彌監督!

日本映画の中で、
時代に生きる人物を的確に描き、
しかもクオリティを担保できる作品を送り続けている数少ない監督さん。

本作も、まあ〜この人物、この設定、
白石監督の力量と信用性の高さなのでしょう。

壊れた人は再生できるのだろうか、
壊れた街は再生できるのだろうか、
嵐の後に静かな凪は訪れるのだろうか、

僕自身は全くと言っていいほど、ギャンブルはやらないので、正直彼の行動は理解できないのだが、
依存症、それはギャンブルに限らずだが、彼は四六時中、それに依存している訳ではないのかもしれない。
むしろ、ほどんどの時間は、止めよう、断とうとしているのだろう。

でも、突如訪れる「魔の誘い」に対しての防御力が極めて弱い。
心の平行が一気に崩れてしまう。
本作では、カメラが斜めになることで、それを見事に表している。

正直、あの終わり方の後にだって、
あの男や家族に嵐はやってくるだろう。

でも、心を合わせた瞬間は、次の防波堤になってくれるかもしれない。

香取慎吾の他にも役者陣が素晴らしい。
地を這いずりまわるような人物をみな力演している。
特に癌を患っているのに、漁に出る頑固な義父を演じた吉澤健さん、
僕は知らない役者さんだったけど、
今までに目立ったキャリアが少なかった役者さんだったけど、

見事!お見事!
本作でいくつかの映画賞を取られた。

無名近くても、このクオリティを持ったいる方がたくさんいる日本のエンタメ界の力を感じました。
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