ひでG

オーソン・ウェルズが遺したもののひでGのレビュー・感想・評価

3.4
「マンク」を観たので、それに関連してこれを観てみました。
史上最高の映画に選ばれた「市民ケーン」を25歳で撮ったオーソン・ウェルズが
晩年にカムバックを目指して「風の向こうへ」という映画を撮影している姿を追うドキュメンタリー。

その時撮影していた「風の向こうへ」という作品もかなりグチャグチャの作品らしいが(これもNetflixに入っていたので見ようかな。)
このドキュメンタリーもかなりグチャグチャというか、混乱?錯乱?しているかのような気もしました。

オーソンの奇行や我儘に振り回されるまわりの人々、記録フィルムも振り回されています。
だだ、全体を貫くテーマは、若くして華々しくデビューしたクリエイターやパフォーマーはその後が味わう地獄。

劇中にオーソン自身の言葉にも、「俺は「市民ケーン」の呪縛から抜け出せない。」的なものがありました。

面白かった?(悲しかった)のは、「風の向こうへ」に協力していた監督ピーター・ボグダノビッチも、この当時、オーソンのように竜頭蛇尾状態に苦しんでいたろう。
ピーターの監督作を眺めてみると、「ラストショー」「ベイパームーン」以降、一気に下降線をたどっていくのです。

オーソンの場合、ピーターより遥かにデビュー作の衝撃と絶賛が激しかった分、その後の凋落が際立ったのかもしれないせんね。

ただ、未見ですが(結局、「市民ケーン」しか観てなかった💦)「上海から来た女」の鏡のシーンは、「燃えよドラゴン」で使われているなど、決して凡作続きではなかったのかなとも思いますが、、、

本人しか、天才にしか分からない部分も多くありますが、あの巨体を見ると、切なくなります。それから、資金集めのあのイベント、、ポロポロの晩年、、

嗚呼、悲しき天才、かなり辛い記録でした。
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