無口なコが、心の中ではいっぱいお喋りしているような、そんな映画だったように思う。静謐で上品。人里離れた山村で、小学生たちは清楚な制服を着て、お祈りする。だから、そんな風に感じたのかな。登場人物たちの台詞はそんなに多いわけじゃないけど、でも、心のなかでは沢山お喋りしていたような、そんな気がする。
目をつぶっていると
神様が見えた
うす目をあいたら
神様は見えなくなった
はっきりと目をあいて
神様は見えるか見えないか
それが宿題
これは、谷川俊太郎の「宿題」という詩だ。とても好きで、いつでも諳んじて言える詩。意味なんてわかんないし、意味を考えようと思ったこともなくて、ただなんか好きで、ただただ好き。
障子にあけた穴から放たれた自由。その穴から、神様は見えるか見えないか。それがユラ君の宿題なのかな。いや、宿題ということよりも、いつか叶えたい約束なんだろう。友との、約束なのだろう。
---
映画館で観た予告篇が面白かったので。でも、予告篇で持った印象とは随分違っていた(そういったことは、よくあることだ。)監督が、大学に在籍中に制作した作品で、これが長編デビュー作とのこと。これから着目していきたい監督だ。
本編終了時のクレジット「~~~に捧ぐ」に、そういうことだったのかと。監督の、誠実な佇まい(多分)を、応援したくなった次第。