ザリくん

海獣の子供のザリくんのレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
4.2
少し暑い日に、ぬるい水を張った風呂を真っ暗にしてじゃぶじゃぶ浸りながら鑑賞するとめっちゃととのう。

五十嵐大介の絵がそのまま動いているというだけで凄まじい。単行本5冊(原作既読)を「1人の少女が一夏に成長する不思議な話」という器に入れて上手く尺に纏めたと思う。(言い伝え云々の下りはスピンオフとかで映像化して欲しい)

「窮屈さを抱えた少女がイケメンに連れ出されて神秘的な世界へ行く、そして視聴者は世界観に押し潰される」て話が大好きなんだと分かった。
ウミの声がPixarリメンバーミーの石橋君なの驚いた。

ハウルの星の子や、火の鳥未来編を彷彿とさせる圧巻の誕生祭演出。(決してグレンラガンの銀河投げではない)

地球の果てしない自然、取り分け海は恐怖の対象として度々創作で描かれるが、五十嵐大介の海は怖いのに心地よい。投げ出されて溺死しそうになっても「"死"か…我々はどこから来て、何者で、どこへ行くのか…」と拗らせゴーギャンになってしまいそう。チマチマした死生観を全て飲み込む畏怖の象徴、そして母なる羊水、海。生命賛歌がクジラのソングのように理の外から直接響いてくる。

ソラとかいう「おもしれー女」タイプのイケメンから隕石(誕生祭における精子)を口移しされるってものすごい体験だ…

作品にとことん寄り添ったコメヅの主題歌にも「大切なことは言葉にならない」という便利なフレーズがあるので、上手く感想が言語化できない理由に有難く引用させてもらう。
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