おはうち

海獣の子供のおはうちのレビュー・感想・評価

海獣の子供(2018年製作の映画)
-
週末にシネコンで観たぞ!!客が多いぞ!!中・高生や子供や大人まで揃っているような環境でコレを観た!!シネコンで観た!!郊外のシネコンで流して良い映画なのか戸惑ったぜ!!

そして、この客層は普段ならエンドロールに入ったら劇場から出るもんなのに出ない!!

主題歌の米津玄師で納得した!!


久し振りに劇場で、生命の神秘表現に宇宙がしこたま出てきてスケールのデカさをこれでもかと大見得切って、見せつけるだけ見せた映画を観たな。

一番感銘を受けたのが、「見る」のか「見ないか」の選択肢を与えられた時に「見る」事を選ぶところ。劇場は見世物小屋なのだから、あの選択は観客の意思とシンクロする。
トリップ場面の時、辺りに漂う目玉は観客の目線を兼ねている、何かを目撃したい、見たい欲求。


冒頭で上手いのは、カメラの横移動で映される港にある壁の上を沿って歩いて、壁と壁の間にあるスペースを飛び越えていく場面は横軸。横軸から学校から逃げ帰る場面は縦軸に走る、その後に水族館の水槽を縦横無尽に空間を駆け上がる少年を描写する流れ。
冒頭にあった港にある壁と壁の間のスペースの反復は、思わぬ所に視線が合って驚く。

回る扇風機のスイッチは理解のない先生によって切られて風が遮断されるが、最後の港で理解のある婆さんと話した時に、自然に風が吹いていき何処かにあったプロペラに風が送られて回転していく。心情描写をプロペラの回転で表す。
風の描写に注視したい映画だった。

冒頭で転ばされた時に負った膝の擦り傷の見せ方が良かった、徐々にスーと見えていく。
膝の擦り傷のカットは感情が生じる場面で度々インサートされる。痛みと感傷的な場面がリンクする感触。

膝から下、足元を注視させられる反復描写が多く見受けられる。
母親の赤いマニキュアが塗られた爪とサンダルは鮮烈。
子供の細い脚の先に穿かされる長靴は印象的、長靴が大きいせいで走るときにパタパタと動き辛そうなのが面白い。海に潜る時に脱がされ置かれる長靴の描写が丁寧。
森崎ウィン演じたアングラード氏が、海くんが吐き脱いだ靴を砂浜に揃える手付きは、靴だけでも地に足をつけるが如し。錨の役割かなーって。

隕石は精子!!!!
ってストレートに言って戸惑う、メタファーちゃうんかい。
『君の名は。』と対応した映画にもなっているな。


「宇宙は私」とかストレートに言語化してくるし、無駄に言葉が多い印象も受ける。

最後に明かされる事実は『バースデー・ワンダーランド』と似通っているな、主題も少女の生まれ直しで似てるしね。
おはうち

おはうち