クールで孤高を通り越して、ちょっとお高く止まった感じもする、アーティスト蒔野を福山雅治さんが上手く演じてるなと思いながら見てました。
前半は結構キザな言い回しなんかもするんだけど、そのくせ面白いエピソードを語ったりでちょっと笑ってしまいました。
他にもそういう意図はしてないんだろうけど、笑えるシーンがチラホラ。
洋子が取材中に頭を押さえつけられるシーンとかも何か笑えました。
蒔野と洋子がレストランで食事をしてて、蒔野が洋子への想いを止められなくなる場面、オッサンの私が見てもドキドキ。
福山雅治かっこいいですねぇ。
その後のとある「障害」からはモヤモヤのヤキモキのしっぱなし。
マネージャー何すんじゃい!しかもアンタ、ちゃっかりと!
って、ここは桜井ユキさんの上手さだと思います。
ほんと胸が締め付けられそうになるぐらいヤキモキしたのは桜井さんの演技が見事だったから。
終盤の「告白」からラストまでももどかしい気持ちを持ちつつも、所々に入るギターの旋律が美しくて、それを和らげてくれました。
いくつかのカギとなるモノがあったと思います。
石台、幸福の硬貨、そしてグラス。
真相を離れた場所で別の手段によって知った蒔野と洋子。
共にグラスを震えた手で握り、怒りのぶつけ先を探し、それを自分の手に向けかけたのを堪えた(と思っています、血が出たのは現実ではなかった?)蒔野、
早苗に向けたい所をグッと堪えた洋子。
出会った時に、石台の想いへの解釈を代弁した蒔野と、新幹線でのエピソードの真相をそっと解釈した洋子。
そして、障害の真相を聞かされた後に、洋子が涙を流した場所も石台の上。
戻らない時への後悔と、ぶつけようのない怒りに自分の腿を叩くことしかできない洋子のシーンは一番印象に残りました。
また、最初はお高く止まった感じの蒔野が徐々に人間臭さみたいなのを出して行くのも良かったです。
街中で踊る師匠を見てふと笑みをこぼす所は観てる方までつい微笑んでしまいます。
ラストもはっきりと白黒がつくわけじゃないけど、2人が向かう方向と互いに浮かべた微かな笑みに希望を感じることができました。
2時間の中ですべてを描くのは難しいとは思いますが、もう少し蒔野と洋子が惹かれ合う過程とか心の動きを観たかったなとは思います。
ただ、その不足分は、役者さんたちの表情とかカメラワークとか展開が上手く埋めていました。