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15年後のラブソングのsatchanのネタバレレビュー・内容・結末

15年後のラブソング(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

イーサン・ホーク目当てで何気なく見始めました。イーサン・ホークは、一世を風靡した後、ミュージックシーンを去った、タッカー・クロウという歌手の役を演じています。タッカーは突然、姿を消し、その所在は分かっていませんが、熱狂的なファンがサイト上で情報交換をし続けています。ファンの間で別のタッカーが生み出され、一人歩きしている感じ。そのサイトを運営しているのがダンカンという男性で、アニーという彼女と暮らしています。

ダンカンは些細なことで、しょっ中、アニーと口論になります。イケてない歌手タッカーの熱狂的なファンで、タッカーをひたすら擁護するダンカンのオタク的な発言がなんとも面白い。大学の先生らしい長い説明がリアル。失望している彼女の表情や反撃も絶妙です。アニーはある日、ダンカンの発言に失望し、旦那ダンカンのファンサイトにレビューを書き込みます。

ファンサイトですから、書き込みの多くはタッカーの曲を称賛するものですが、アニーはタッカーの曲をこき下ろします。この稀な書き込みに感銘を受けたタッカー本人が、アニーに連絡をとる辺りから、イーサン・ホーク登場。アニーはタッカー本人からのメールとは信じられず、半信半疑です。徐々に本物のタッカーだと信じるようになり、お互い自分の本心を伝え合うようになっていくのでした。ここからは、ファンサイトのSNSはなしで、『ユー・ガット・メール』みたいな…。

このメールのやり取りの中で、アニーは自分の生い立ちにまつわるつらい経験や子供を持たないと決めていたのに、今は欲しくなったことなどをタッカーに打ち明けます。タッカーはファンサイトで書かれている自分とは違い、自分には子供がいて、ガレージに住んでいること、奥さんがたくたんいること等をアニーに打ち明けます。このやりとりのシーンがとても好きです。何とも言えない日常生活の中で会話が進み、『ビフォー・シリーズ』のような感覚を覚えます。そして、タッカーがアメリカの歌手で、アニーがイギリスの一般ピープルだという点が『ノッティングヒルの恋人』を彷彿とさせました。派手じゃないのに、ワクワク感がたまらない。

アニーのイギリス発音やタッカーとの日常会話にに魅了され、二回も見てしまいました。そして、要所要所の男の子の発言が可愛い。サメリュックとサメの目のリンクや、展覧会のおばあさんの発言も効いてました。あの年齢の方に言われると、グサっと刺さりますね。
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