私は片山慎三監督の「さがす」が大好きなんです
という事でデビュー作「岬の兄妹」の鑑賞
先日鑑賞した「雨の中に慾情」も面白かったのですが
片山慎三監督の現代劇こそ観たい
平凡な日常しか知らない私をぶん殴ってくれるような作品を期待しての「岬の兄妹」なのです
が…これがなかなかに重たい映画
しっかりとぶん殴られました
足が不自由な兄と自閉症の妹
その日暮らしすらままならない中で兄が働いていた工場をクビになってしまう
そんな中、自閉症の妹が性行為との引き換えに金銭を受け取ったことを知る兄
生活は困窮を極め
兄は自分の妹に売春をさせることを決意する
…重いです
この最低すぎる倫理観を外れた内容
それでもこの兄を責める事が出来ない
自分自身の苦悩だけではなく
自閉症の家族を抱える苦労
それがたとえ人として最低な行いだとしても
生きるための選択肢として選ばざるを得ない状況
売春を始めた事で性行為の快楽を知ってしまった自閉症の妹…
これはただの不幸な話として切り分ける事ができるのか…
純粋に生存本能として考えれば
突き詰めたら食事と生殖行為のみに絞られるのではないか
障がい者の性行為というデリケートな話題
正しいやり方ではないが本作での妹は快楽の喜びを感じてたはず
貧困と障がい
綺麗事だけで片付けようとするのは当事者以外
当事者の目線で描かれる事で見えてくる日本の暗い側面
純粋な生きるという行為で正論をねじ伏せる作品