takanoひねもすのたり

彼女はひとりのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

彼女はひとり(2018年製作の映画)
2.8
自殺を図るも死ねなかった女子高生の澄子
それ以来、彼女は執拗に幼馴染みの秀明に対してある秘密をネタに脅迫を繰り返す
それにはある理由があった    
  
私個人は全く刺さらずハマらずな作品
14歳で自死する予定を漠然と決めていた自分
死にたい理由は自分がそうしたいからであって他人のせいにして自分殺しをやるのは割に合わないと考えてる、今も昔も

故に澄子の主張する『(秀明が)私の世界が完全に崩壊してしまった、だから復讐してやる』という行動の原理と思考に反発しか覚えない
そも秀明が責められるのは澄子の父親と澄子の親友が恋愛関係になっていたことを彼女に伝えてしまったことだが、それにより彼女の世界が崩壊しただのといってネチネチと責られる謂れは無い(それは澄子の問題)
脅迫で強請って彼の人権を踏みにじっていい理由になる訳がない
これはもう澄子の人間性

『教師が生徒と恋愛関係になること』
これが副次的なテーマなんだろうか
時々社会の常識とモラル、教師はこうあるべきパブリックイメージが見え隠れしてる

澄子に戻ると 
"私"が可哀想"
"でも私だけが可哀想なのは許せない"
"だから秀明のことも許さない壊してやる"
が、澄子の復讐行動の原動力
なあこれを狂気と形容するのは安直じゃねーの?

秀明も、そこそこクズではある
だけど澄子のように他人を巻き込んで引きずり落とそうとしない分だけまだマシ

こんな浅はかな理由を"狂気"と形容する安易さに(ジャケとか記事とか)乾いた笑いしか出てこない
ラストシーンに至って(どう傷つけても寄り添ってくれる大人)の登場に(いやいやいやいやいやいやいやいやいやーーー)と盛大に突っ込む始末、本当に笑うしかない
 
10代だからこその愚かさもひりついた感じも私は嫌いではない
復讐したい、それ相応の理由がある、相手は代償を払うべきだ、まあ理由は何でもいい

ただ自分勝手な理屈で他人を巻き込むことを肯定しているなら、それは思想のために他人を巻き添えにするテロリストと紙一重でとても近い
ミクロかマクロの差だけ
そんな人間が主人公なら、徹底的に悪辣に描いてほしい、中途半端な甘えを主人公に与えて欲しく無い

尺が短かくてある意味そこは非常に助かった😅