kirokuyou

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのkirokuyouのレビュー・感想・評価

4.2
最初の公開版を劇場で鑑賞、漫画を読み、TBSドラマも全話鑑賞、私にとってはこの追加アニメ版で締めくくり。

讃美歌で始まるのが悲しくも良い。
戦後に伝わった物と思っていたクリスマスの様子が描かれていて驚き。

一度会っただけで記憶にない人と結婚、どんなに不安だろう。
結婚し地元から遠く離れた地に引越した今では、劇場で観た時より余計すずさんが不憫かつ、慣れない土地で一人という心細さに共感した。
そしてそれでも明るく前向きな姿、尊敬。
この世界に居場所はのうならせん、故郷が恋しくて寂しくなったら私もこの言葉を思い出そうと思う。

戦争が絶対にいけないということは、この作品以外からでも学んでいる。
ただ、普通に暮らしているシーンが他の作品よりも多いから、戦争が日常にあったという現実をよりリアルに感じられるのが特徴かと思う。
劇場で観た後に初めて広島を訪れ、原爆ドームや資料館を観た時に、すずさんみたいに普通に暮らしていた人達がいきなり地獄に放り込まれたんだと、改めて恐怖を感じた。

リンさんとのエピソードが追加されているのは良かったけど、劇場で観てたら長かったかも。

あと公開当時も感じたけど、私はのんちゃんの声が合ってる様には思えない。すずさんになりきれず、のんちゃんそのままだと感じるシーンの方が多くて。声と実際の演技とじゃ違うと思うけど、ドラマ版の松本穂香ちゃんがすごくしっくりきたから、今回の鑑賞で余計そう思ってしまった。

それと映画の感想から逸れるけど、せめて夏にはこういう戦争を扱った映画やドラマをTVで放送して欲しい。
というのも某サンリオキャラがXで、今年の8/9に白い鳩のイラストをUPしていたのだけど、今はなきTwitterの青い鳥アイコンのことだとコメントしてる人達がちらほらいて…日付考えたら平和へのメッセージだろうに、それがわからないのかと驚いた。風化が進んでいる現状に対して、情けないというか恥ずかしいというか、やるせない気持ちになって。
こういう作品から知ることも多いだろうから、少しでも若い世代に知る機会を与えて欲しい。
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