atsuki

mid90s ミッドナインティーズのatsukiのレビュー・感想・評価

4.0
滑走や跳躍よりも転倒が契機になっていた。それはスティーヴィーが気持ちの速さに追いつくことができないからである。たとえば、軋轢や影響や憧れによってスティーヴィーの気持ちは動かされ、その速度は上がり、転倒する。ちなみにスケートボードはジョナ・ヒルのパーソナルなものではあるけど、この転倒の感覚には共感ができる。スティーヴィーはうまく滑走や跳躍ができたわけではない。転倒しつづけ、いちばん酷い目にあう。しかし、ラストには「mid90s」という記録映画が置かれる。つまり、スティーヴィーは90年代半ばを熱誠を持って生きていたという証がたしかにあるということ。もうこんなことしなくていいだろう。気持ちの速さに追いつこうとした時、スピードを合わせようとしてくれた人たちのことを思い出して。
atsuki

atsuki