桃子

砂塵の桃子のレビュー・感想・評価

砂塵(1939年製作の映画)
4.1
「もぐもぐ」

悪徳市長が、いつも口をもぐもぐさせている。もぐもぐしながらしゃべる。こういう絵面は生理的に無理!だいたいお行儀が悪いじゃない。なんて思っていたら、ヒロインのフレンチーを演じているマレーネ・ディートリヒが「その噛み煙草、やめてくれない?」という台詞を言った。そうかー、食べ物ではなくて煙草だったのか!と納得した。納得はしたけれど、やっぱり不快感が拭えなかった。現在では、公の場で煙草を吸う人はいなくなったが、昔は男も女も、時と場所を問わずに吸っていた。昔の映画を見ると、たいてい喫煙のシーンが出てくる。それも種類は色々だ。紙巻き煙草、葉巻、パイプ、嗅ぎ煙草、そしてこの噛み煙草。Wikiで調べたら、「噛みたばこは直接タバコの葉を含む混合物を噛むことにより風味を楽しむものであり、タバコの楽しみ方としては最も古い方法である。北米大陸のインディアンは、ライム(石灰)とともに用いている。火気厳禁である場所、たとえば船倉、鉱山、森林などで用いられた」と説明されていた。なるほどねえ。火気厳禁の場所で使われていたわけか。煙草の葉の混合物を口の中に入れてガムみたいに噛むなんて、そこまでして煙草を味わいたいのか~
煙草の話はさておき、古い西部劇だが、非常に面白かった。ディートリヒが初めて出演した西部劇だそうである。彼女は歌手でもあるので、この映画でも酒場(ダンスホールと言った方が合っている)のクイーンを演じており、あの低音の歌声を披露している。
主人公はジェームズ・スチュワート演じるトム・デストリー・ジュニアである。映画公開当時は31歳。若さに溢れていて、役柄もかっこいい。拳銃の名手なのに普段は携帯していないという粋な保安官がぴったりとハマっていた。さすが「アメリカの良心」と言われた俳優さんである。彼は多くの映画に出演しているが、悪役を演じたのはたった1本だけ、「夕陽特急」という映画だそうである。いつかぜひ見てみたい!!
桃子

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