一人旅

7月22日の一人旅のレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
4.0
ポール・グリーングラス監督作。

ノルウェーの女性ジャーナリスト:アスネ・セイエルスタッドによる2015年発表のノンフィクション「One of Us」を原作に、2011年7月22日にノルウェーで発生した連続テロ事件を映画化したもので、『ブラディ・サンデー』(2002)や『キャプテン・フィリップス』(2013)など実在の事件をリアリズム溢れる演出で再現することに長けたポール・グリーングラス監督が脚色と演出を手掛けています。

本作と同時期に制作された『ウトヤ島、7月22日』(2018)同様、2011年7月22日、ノルウェーの首都オスロにある政府庁舎を狙った爆破とオスロ近郊ウトヤ島でサマーキャンプに参加していた10代の若者たちを標的とした無差別銃乱射を起こし計77名の犠牲者と300名以上の負傷者を出した「ノルウェー連続テロ事件」を題材にした実録物です。『ウトヤ島、7月22日』がオスロ島のサマーキャンプに参加した一人の少女の視点で銃乱射の惨劇を再現したのに対し、本作の場合には、政府庁舎爆破とオスロ島銃乱射の一部始終は序盤で描き終え、作劇の大部分をノルウェー国籍の犯人:アンネシュ・ベーリング・ブレイビクを巡る裁判のゆくえに割いています。

独善的な極右思想で罪のない若者たちを大量殺害した犯人の行状と、銃撃を受け昏睡状態に陥った青年とその家族の苦しみ、犯人から弁護を依頼された敏腕弁護士の葛藤と責務、事件発生を受け情報収集&対応に奔走する首相らの動向…と多角的な視点により連続テロ事件とその余波を描き切った“実録スリラー+法廷サスペンス”の力作で、臨場感溢れるワンカット映像でウトヤ島銃乱射に焦点を絞った『ウトヤ島、7月22日』と併せて鑑賞すると事件の詳細がより分かると思います。
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