きなこ

ラストレターのきなこのネタバレレビュー・内容・結末

ラストレター(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

岩井俊二監督の作品に広瀬すずって、
なんかいかにもと言うか、絶対に映えるんだろうなあって、つい観ちゃった一本。
否定的な意味ではなくて、です。

こてこてのラブストーリーっぽいキャッチコピーですが、実際は恋愛っていうか、もっと広い意味での愛のお話っていう感じでしょうか。
詳しくないけれど、私のイメージにある岩井俊二らしさ爆発というか、青春時代、手紙、中山美穂とトヨエツ 。

神木隆之介の高校生ってすごいなと思う。年齢からくる違和感少ない、喋り方が高校生らしいし、うまいなあ。
広瀬すず違和感なく高校生で、森七菜と2人、岩井俊二映画の中の少女!って感じで?良かった、
それぞれの二役もきちんと違う人物に見えるのが良かったのですが。

個人的に良かったのは福山雅治。
今までみた作品の中では、福山雅治はいつでもどこか福山雅治、っていうイメージが拭えなかったのですが、
今回の福山雅治は、間違いなく乙坂さんだったと思いました。
神木隆之介が福山雅治になるの?っていう違和感を拭ってくれる双方の演技でした。
(森さん、松さんもしっかり同じ人物に見えました。)
特にそう思ったのはトヨエツと対峙してるシーンかな。
乙坂さんもヒーローなわけでなく、足りないところもある人間なんだよなあと気付かされた。そこまでが女子たちの目線から描かれた感じに囚われてたかも。

トヨエツが言ってたことに考え込んでしまった。
未咲に振られなければ、乙坂の人生には小説がなかっただろ、っていうのはある意味確かに、と思ってしまい。
結局未咲の人生に乙坂はきちんと影響してた、関わった以上影響し合わないなんてことないよねって感じる、救いのあるラストだったわけですが。
もしもトヨエツでなく乙坂と未咲がずっと一緒にいたとしたら?未咲は今生きてたかもしれないけど、小説も広瀬すずも生まれなかったかもしれないわけで。。。何より未咲が選んだのはトヨエツだったわけで。
作中、何度かこんなたらればを言いたくなったのだけれど、結局はどんな展開でもそんな気持ちになるものなのかも。
そんな中で、お母さんは悪くない、って言い切る娘の潔さが素敵。

この作品の人物みんなそうだけれど(例えば乙坂だって、一歩間違えたらちょっと怖い人ですよね)、完璧な人なんていない。
だからこそ得るものや失うものがあって、良くも悪くも生まれるものがあって、
誰かと繋がることって生きてく上で欠かせないんだなってぼんやり思いました。
起こったことの中から、何かを得て暮らしていく覚悟って必要なのかもと、最後の乙坂を見て思いました。

高校生の答辞に、夢が叶わなかったり辛かったりした時は、みんなが等しく輝いていた高校時代を思い出すでしょう、って書いてあるのは大人がみるとギュッとしますね。
でも、大人の世知辛さみたいなのを高校生が想像して書いたのかと思うとちょっとギクッとして、確かにトヨエツ選んじゃう女子なのかもなあとか何となく思ったり。

無駄に長くなっちゃいましたが、最後に。
…宗さん出てました!!宮城県民は必見です。笑

2020-03
きなこ

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