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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のnagaokaのレビュー・感想・評価

4.7
「ストーリー・オブ・マイライフ」@吉祥寺オデオン。何故か「若草物語」が好きだ。ウィノナ・ライダー版も見ている。しかもグレタ・ガーウィグが監督なら見に行かねば。オルコットが若草物語を書くまでなのだが、とにかく時間の往復が素晴らしい。一つのエピソードが過去と現在、そして書かれた物語と現実、という複数の層で幾重にも折り重なって語りが行ったり来たりするものだから、まさに佐々木昭一郎ばりの、ジョーの「意識の流れ」をライブ感溢れんばかりに観客は体験することになり、いつしか引き込まれてしまう。冒頭とラストの編集者とのやり取りも同じ場所を時間を変えて往復させる語り口で、映画の物語自体が一つの「本」として、まさに綴じられていくさまをジョーが凝視する視線に我々の視線が同化していくのだ。視線と意識の、躍動感溢れる運動をグレタ・ガーウィグはこんなふうにして実現し、彼女でしか撮れない「若草物語」を作り上げた。
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