mrかっちゃん

恐怖の報酬 オリジナル完全版のmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

5.0
一触即発のニトログリセリンをジャングルの奥地から持ち帰れ!
「MAD MAX怒りのデスロード」と同じ行って帰ってくるだけのストーリーなのにこんなにスクリーンに釘付けになり夢中になれるなんて。

「エクソシスト」で有名なウィリアムフリードキン監督の40年越しの執念が功を成した作品。
製作時の様々な問題や公開当時「スターウォーズ」とぶつかったこともあり興行的に惨敗してしまう。
あろうことか会社側が監督に無断で半分以上カットしたものを世界的に公開しそのバージョンが最近まで出回っていていた。
そのせいで作品の評価も賛否両論となっていた。
その現状に監督は憤りを感じ完全版の復元に乗り出したという逸話もあります。

今回の再評価を受けて完全版公開までの過程をドキュメンタリーとして作って欲しいと思ってる。
それぐらいドラマがある。

前置きが長くなってしまいましたが、この完全版は本当に素晴らしかった。
行って帰ってくるだけなのですが、サスペンスとして機能する要素が計算して盛り込まれていて荒々しいドラマでありながらも、作り込まれています。
何故ジャングルの奥地に行かないと行けないのかを小一時間ほどの尺を使って4人の男の転落人生を導入として描きもう後がないことを観客にストレートに伝えている。

肝心のサスペンスの要素ですが、
一つがジャングルという巨大な密室。
二つが今にも爆発してしまうニトログリセリン
三つが4人の中で誰が帰って来られるのか。
この三つです。
加えて数々のハラハラする場面が効果的に
盛り込まれ息つく暇もなくものすごいスピードと熱量で罪を贖うように男達の地獄巡りが展開していきます。

監督の執念と「カットする所などない」とコメントしていた意味が体験として伝わりました。
劇場でこんな昔の作品を観ることが出来るなんて多分もう一生ないと思ってます。
上映してくれたことにただ感謝します。