「あたしでよかった」
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その37秒によって人生の大部分を決定づけられてしまった少女。
障がいを抱えて生きることの生きづらさを問う。
しかし、本作でより明確に浮き彫りにされているのは、むしろ生きることの素晴らしさだと思った。
彼女が殻を破って進んでいく道のり。それは確かに私も経験した道だ。
オシャレを楽しみ、お酒を楽しみ、飲みすぎて失敗し、初体験に緊張し、会いたい人に会いに行く。出会いと別れ。人生のダイナミズム。人生はなんて楽しいんだろう!
障がいを抱えて生きることの厳しさに、前半は苦しかったが、後半の生き生きとしたゆまの姿に元気をもらえる。
ただ、後半はドラマチックな展開になり過ぎて、ちょっと作り話感は増す。いや、めちゃめちゃいい話なんだけどね。でも、現実への問題提起系映画かと思ってたから。
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「あたしでよかった」
そう肯定できるような人生を、私も送りたいと思う。
長編初監督とは思えないほど、濃密な作品。
公開:2020年
監督:HIKARI(長編デビュー作)
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介