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37セカンズのOBのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.2
素晴らしかったです。
前日に『ミッドナイトスワン』を鑑賞し、感動しつつも根深い差別という現実を突きつけられ、気持ち的には落ちていたのですが、本作によって救いを貰いました。

本作の主人公ユマは脳性麻痺で手足が自由に動かないいわゆる障害者。お母さんの手厚い保護により何とか生活していています。

しかし、ユマも大人の一人の女性です。あるきっかけにより様々なことにチャレンジを始めていきます。

危なっかしい場面も多々ありますが、そこで巡り合う人たちの好サポートもあり、彼女は一人の人間として成長していきます。

劇中、交わされる会話、
「私は障害者だけど恋愛とか上手く出来るだろうか?」
「障害者だろが健常者だろうが、上手く行くかどうかは、本人次第だよ!」
には、ポジティブかつ本質的なメッセージが込められ、本作のテーマと言えます。

また、お母さんの過剰な心配に反して、ユマが出会う人々が皆一様に良い人なのが綺麗事に見えるという人もいるかもしれません。

しかし、私はこれこそが日本という国がこれから目指していくべき姿なのだろうと強く感じました。

このような社会になれば、凪咲は辛い思いをしなくても済むし、JOKERだって生まれなかったでしょう。

その意味でこの映画はより未来を見据えたあるべき姿を提示している、まさしく現代に必要な作品だと思いました。

最初は障害者であることを自認し、受け身かつ機械的に見えたユマが、最後のシーンでは活発で魅力的な一人の女性に見えたのは私だけではなかったはずです。

現代の深いAS ISを描いた『ミッドナイトスワン』、これからのTO BEを描いた『37セカンズ』どちらも名作です。
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