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37セカンズのSadaoMioのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.0
まだ観てない人には是非観て欲しい作品。障害者もの、ということで「お涙頂戴」とか「差別と偏見との闘い」「重いテーマ」とかをイメージしがちだけど、本作はむしろ真逆。軽やかで明るく楽天的に綴られたキュートな女性の成長譚だ。
障害を描くのは難しい。真っ正面からドキュメンタリータッチで描けばリアルではあるが重くて観るのが辛くなりがち。本作はオーディションで選ばれた主役のユマを演じる佳山明さんが実際に脳性マヒであるというリアルと、ユマというフィクションの融合が、障害を感じさせずに障害を考えさせるという稀有な体験を与えてくれる。押し付けがましくなく観て楽しい作品となったことで、結果として多くの人に障害について、障害者についての理解と共感を伝えることに成功している。

もちろん後半の展開の飛躍やめぐり逢いがいい人ばかり過ぎるとか、出生時にあったであろう母の葛藤と選択が伝わらない、など欠点もある。しかし、佳山明の存在とユマの魅力はそれら全ての欠点を吹き飛ばす力がある。
奇跡の一作。
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